テレビ向け液晶パネルの価格上昇が続いている。指標品の7月の大口価格は、前月と比べ1割ほど高い。各国の給付金などの後押しで先進国を中心にテレビ販売が増えている。韓国メーカーが年内に液晶パネル生産から撤退する方針であるのを受け、パネルの需要家が早めに在庫を確保しておく動きも出て価格を押し上げた。

指標となるオープンセル(バックライトがついていない半製品)の7月の大口価格は、大型テレビ向けの55型が前月比7ドル(6%)ほど高い1枚115ドル前後。32型も4ドル(11%)高い1枚40ドル前後まで上昇した。上昇は2カ月連続。





新型コロナの影響で春先は低迷していた各国のテレビ販売は、その後の給付金支給の後押しもあり好調に転じた。パネルの大口価格も6月に3カ月ぶりに上昇した。6月は前月比2~6%高だったのに対して7月に上昇幅が広がったのは、業界の想定以上にテレビ販売が好調なことがある。

7~9月は年末のテレビ販売に備えたパネルの需要期にあたり、テレビメーカーからの発注は旺盛だ。テレビ向け液晶パネルの工場稼働率はフル稼働に近い。5月の83%を底に稼働率が改善しており、7月は91%まで上昇している。

韓国のLGディスプレーやサムスン電子は20年内に韓国での大型パネル生産から撤退する方針だ。徐々に稼働を落とし、10~12月に減産を本格化するとみられる。供給の先細り懸念から、韓国のテレビメーカーを中心に積極的な買いが入っている。

8月のパネル価格も「引き続き上昇する」(DSCCの田村喜男アジア代表)という。 一方、10~12月のパネル価格は下落に転じるとの見方もある。必要以上の調達による在庫のだぶつきなどが懸念されている。