dsc_0308_2液晶や有機ELなどディスプレー技術の展示会「ファインテックジャパン」が2日、幕張メッセ(千葉市)で開幕した。新型コロナウイルスの感染拡大で中国や韓国などの企業は出展を見合わせた。海外大手が席巻するスマートフォンやテレビ市場向けパネルの展示は影を潜め、コロナ後の「新常態(ニューノーマル)」の使い方を模索する動きが広がっている。

液晶パネル大手ジャパンディスプレイのブースはカウンターに説明員と来場者の間を隔てるアクリル板の仕切り板を設置した。仕切り板には透明のディスプレーを組み込み、説明員の説明に合わせて画像を映し出す。

ディスプレーはスマホのアプリと連動させることもできる。「こんにちは。こちらはJDIの透明な液晶です」。説明員がスマホの翻訳アプリを起動させて中国語で話し始めると、リアルタイムで翻訳されて日本語が映し出された。





指をかざすと画面に触れなくても操作できる非接触型の透明ディスプレーも展示し、多くの来場者がスマホのタッチパネルのような操作を試していた。この技術は店舗のレジなどに設置する飛沫防止のパーテーションに組み込むといった活用方法を見込んでいる。

「有機ELパネルは軽量で自由な形にできる。顧客企業と新しい使い方を議論し、それに必要なパネルを設計する」。パナソニックとソニーの有機EL事業を統合したJOLED(ジェイオーレッド)の石橋義社長はファインテックの基調講演に登壇し、強調した。

同社は展示会に先立つ1日夕方にLG電子と独ルフトハンザ・グループのルフトハンザ・テクニークの合弁会社、AERQと航空機向けの有機ELパネルの共同開発で協業すると発表した。LG電子は大型の有機ELパネルに強みを持つため、中型パネルを手掛けるJOLEDと相乗効果を発揮しやすい。新型コロナ収束後の航空需要の回復に期待し、21年以後の製品化を目指す。

これまでディスプレー市場はスマホやテレビが主戦場だった。ただし調査会社の米IDCによれば20年のスマホの出荷台数は前年比9.5%減る見通しになるなど、スマホやテレビ市場は成熟化が進む。各社は車載パネルやウエアラブル端末、医療機器など、今後の成長のタネを探索する。

ディスプレー商社のグローバルディスプレイ(大阪市)は画面全体にピアノの鍵盤を映し出したモニターや、雨水にさらされても壊れにくいパネルなどを展示した。説明員は「巣ごもり需要が広がり、玩具に搭載される特殊形状のディスプレーも引き合いが増えている」と取扱製品の豊富さをアピールしていた。

パネルの形状は複雑となり、加工技術の進化も重要だ。常陽工学(横浜市)とレーザー加工のレイセック(愛知県東浦町)はフィルムとガラス基板を張り合わせてから好きな形状に切断できる技術を展示した。レイセックの小暮辰彦社長は「曲面など複雑な形に対応した加工技術の引き合いが高まっている」と話す。

ディスプレー分野では日本勢が技術開発で先行したが、資金力に勝る韓国勢や政府の補助金を背景に大型設備投資を繰り返す中国勢にスマホやテレビ市場で主役の座を奪われていった。今回のファインテックでは海外勢が出展を見合わせたことで、結果的にスマホやテレビ以外の用途に注目が集まった。日本企業は自社の技術力を生かせる新たな市場を見つけられるか。今後の日本のディスプレー産業を占う展示会とも言えそうだ。

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