中国企業の「韓国人材引き抜き」が液晶パネルや半導体に続き、未来の収益源に挙げられる有機EL産業にまで伸びている。中国が「ディスプレー崛起」の2次目標に有機EL産業育成を挙げ技術確保に積極的に乗り出しているためだ。

6日の産業界によると、最近ジョブコリアやインクルートなど主要ヘッドハンティング会社の掲示板に「中国企業が有機EL技術専門家を求めている」という投稿が同時多発的に上げられている。億を超える給与と住居・航空券提供など破格の待遇を約束すると同時に、「S社・L社出身と在職者優待」という条件まで提示している。

事実上サムスンディスプレーとLGディスプレーの役員社員を露骨に誘惑しているものだ。業界関係者は「表向きは多額の給与条件を掲げているが、交渉では現在の年俸の最小10倍以上を提示するケースが多い」と打ち明ける。





業界ではBOEやCSOTなど中国を代表するディスプレーメーカーが最近有機EL市場に積極的に参入している影響が大きいとみている。技術力不足を補完するため韓国のエンジニアを引き抜くことに力を入れているものと分析される。韓国のディスプレー業界は超緊張状態だ。業界関係者は「韓国政府が有機ELを国家核心技術に指定し技術流出を厳格に制限しているが、『人材移動』までは防止できず当惑している」と話した。

◇中国の露骨の人材ハンティング

「年俸5億ウォンに滞在費と高級アパート保障」「給与10倍引き上げ、航空券無制限支給」。

最近韓国のヘッドハンティング企業の掲示板に上げられた中国ディスプレーメーカーの韓国人部長級有機EL技術専門家採用公告だ。韓国では大企業高位役員ではなくては受けられない破格の待遇だ。

中国企業が韓国の有機EL人材引き抜きに出るのは、韓国企業との技術格差を狭められる唯一の方法であるためだ。ディスプレー業界関係者は「韓国を抜いて液晶パネル世界1位に上がった中国が有機EL市場でも宗主国である韓国を超えるために積極的な動きに乗り出している」と評価した。

◇日本企業と連合し有機EL狙う

6日の産業界によると、中国のディスプレーメーカーは次世代戦略事業に有機ELを選定し最近投資を積極的に進めている。スマートフォン用有機ELと関連してはBOEが最も積極的だ。BOEの常程副会長は9月のカンファレンスで、「2024年までにシェア40%を確保する」と公言した。7-9月期基準で72.6%と世界1位であるサムスン電子に向け宣戦布告をしたものだ。

LGディスプレーが独占しているテレビ用有機ELパネル分野でも中国は虎視耽々と機会を狙っている。中国2位のCSOTは8月の業績発表会で「来年広州に第8.5世代テレビ用有機EL生産ラインを着工し、18カ月後から本格稼動するだろう」と強調した。世界唯一の有機ELパネルメーカーのLGディスプレーとの真っ向勝負を予告したのだ。6月には日本のディスプレーメーカーJOLEDの株式11%を200億円で取得した。

◇現地採用時も「韓国語堪能者」優遇

中国企業の「アキレス腱」は技術力だ。有機EL産業は大規模装備投資に加え数年間の研究開発が必須だ。有機ELの特性上、焼き付き現象などを避けることができないためこれを最小化する技術力の重要性はさらに大きい。

昨年から有機EL事業に本格的に参入した中国企業の技術水準は韓国より5年ほど遅れていると評価される。BOEがアップルとサムスン電子にスマートフォン用有機ELパネルを納品できずにおり、LGディスプレーだけがテレビ用有機ELパネルを作れるというのが端的な事例だ。業界関係者は「中国政府が大規模補助金をばらまき有機EL育成に積極的に取り組んでおり、技術基盤が弱い中国企業が急いでいる」と雰囲気を伝えた。中国政府と有機EL合弁会社を設立したBOEが億を超える年俸を提示し韓国人有機EL材料専門家を引き抜く理由だ。

中国内では韓国人材招聘に向けた準備もじわじわと進んでいる。BOEやCSOTなどは中国の大卒者採用公告に「韓国語可能者優遇」を明示したりもする。韓国人エンジニアから技術を習得しなければならないためだ。最近BOEは中国での中途採用社員公告に「韓国語翻訳専門家」を含め、「韓国語TOPIK5級以上」という条件を付けた。

◇系列幽霊会社設立して人材引き抜きも

中国企業の積極的な「韓国技術者引き抜き」の動きに韓国企業は緊張状態だ。液晶パネル産業の前轍を繰り返しかねないという懸念のためだ。DSCCなど一部市場調査会社は2025年に中国の有機ELシェアが韓国を追い抜くだろうという見通しを出したりもした。

人材流出を防ぐこれといった方法がないという点も企業の悩みを増している。有機ELが半導体とともに「国家核心技術」に指定され、意図的な「技術奪取と流出」などは厳格に制限されるが、職業選択の自由を侵害する人材移動まで規制するのは難しいためだ。

企業は「競合会社への転職2年禁止」など労働契約条項に盛り込み人材流出を防いでいるが、力不足との評価が出ている。中国企業が系列幽霊会社を設立し韓国人技術者を引き抜く事例がしばしば発生しているからだ。2017年ごろにサムスン出身のディスプレー技術者が中国企業の偽装系列会社に就職して摘発され裁判を受けた事例もある。ディスプレーメーカー関係者は「すべての退職者の移動を把握するのは現実的に不可能だ」と説明した。


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