石油化学大手、長春集団(CCPG)の林書鴻総裁は、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の米国工場計画に合わせ、半導体用の高純度過酸化水素や現像液などを供給するため、同社もアリゾナ州で工場を建設すると表明した。投資額は2億米ドルを見込む。半導体サプライチェーン(供給網)ごとの米国移転に弾みが付きそうだ。7日付工商時報が報じた。

設備メーカー、漢唐集成(ユナイテッド・インテグレーテッド・サービシズ、UIS)や半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手の日月光投資控股(ASEテクノロジー・ホールディング、ASEH)なども11月に米国工場設置意欲や検討姿勢を示している。  

半導体や電気自動車(EV)需要を受け、長春集団は、米国、中国、台湾、シンガポールでの工場拡張に、3年で約17億米ドルを投じる計画だ。






 中国江蘇省の揚州化学工業園区では、TSMCの南京工場向けやパネル向け化学品需要に応えるため、高純度過酸化水素や水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)現像液、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)溶剤を生産する大型工場を建設する。21年6月に試験生産予定だ。投資額は1億8,000万米ドル。

 台湾の苗栗工場では、来年6月に工業用規格の過酸化水素の生産を開始する予定だ。年産量は5万トン。彰化県の彰濱工場(彰化濱海工業区)にも年産5万トンの工業用過酸化水素工場を建設する計画だ。投資額はそれぞれ2億米ドル。

 長春集団の化学品は、ロジックICやDRAM向け世界市場シェア65%以上、台湾市場シェア75%で、業界首位だ。林総裁は、長春集団が工業用や医療用の過酸化水素をベースに、半導体用の高純度過酸化水素の開発に成功して以来、台湾の半導体メーカーは同社製品を採用しており、以前のように海外からの輸入に頼らなくて済むようになったと指摘した。

 自動車用の銅箔(どうはく)供給不足を受け、長春集団は、中国・常熟工場(江蘇省)第3工場を拡張しており、来年6月に完成する予定だ。第4工場建設計画も確定した。年産量は各7,400トン、投資額は各2億米ドル。

 林総裁は、パナソニックを通じて米EV大手、テスラのサプライチェーン入りを果たしており、車載用電池の中国最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)も顧客だと明かした。同社の銅箔の年産量は17万2,800万トンで、世界市場シェア35%。うち、EV用銅箔の世界市場シェアは27%に拡大した。

 林総裁は、中国政府が2025年に新エネルギー車(NEV)の中国市場シェアを20%まで引き上げる目標を掲げており、来年はEV商機が急成長すると予測した。

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