住友化学は、ディスプレー用高分子有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)発光材料事業の本格的な拡大に向けて体制を刷新する。4月に現在の専任組織から偏光板を展開する情報電子化学部門に移管し、同部門の品質保証や大手顧客との密な関係性を活用する。開発人員も増員する。2021年度に売上高10億円規模、25年度に同50億円超を目指す。

同社は長年、有機ELパネルの生産コスト低減を目指し、従来の蒸着法に替わる印刷法向け高分子材料を研究開発してきた。19年にJOLED(東京都千代田区)の中型パネルに採用され、今後供給量が拡大する見通し。また他メーカーとの間で、第8世代以上の大型パネル量産の共同開発が進展し、実証段階に入ったため、体制の強化を決めた。





開発人員は有機EL照明の開発を停止し、ディスプレー用色材の開発に振り向けて増員する。将来の照明市場の拡大は限定的と見て、自社で参入せずに材料供給を行う。生産体制は大阪工場(大阪市此花区)に整備した。

同社はディスプレー用偏光板などで高いシェアを持ち、「(情電部門の)顧客と密な議論をできる関係を生かす。新体制は、顧客へも当社の本気が伝わり、今まで以上と評価いただいた」という。

現在有機ELディスプレーはスマートフォン向け小型パネル中心。大型の有機ELパネルはメーカーの高付加価値化戦略に伴い今後拡大し、25年には有機ELを含むハイエンド機がテレビ市場の30%(現在数%)を占めると予想する。


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