jdi b757736ジャパンディスプレイ(JDI)は、脈波測定向けに読み取り速度を従来比4・4倍の毎秒19・5コマに向上させた薄型イメージセンサーを開発した。より高精細なバイタルサイン(生命兆候)が取得でき、同時に指紋・静脈の生体認証も行う。手首などに巻くウエアラブル機器への搭載を想定し、利用者のなりすましや患者の取り違え防止に役立つ。3年後をめどに商品化を目指す。

JDIは2017年から東京大学と光学式薄型イメージセンサーを共同研究してきた。今回、JDIが低温ポリシリコン(LTPS)薄膜トランジスタ(TFT)の駆動方法を見直し、1コマごとのセンサー走査(スキャン)回数を従来の2回から1回に半減した。

さらなる高速読み取りを実現したことで、脈波をより正確に計測できるようにした。心臓の拍動に応じた末梢(まっしょう)血管の圧や容積の変化を示す脈波は、動脈硬化の進行度やストレスなどの健康状態を推定する生体信号だ。





また、JDIと東大が20年1月に共同発表したセンサーと比べて測定方式を変更した。従来は上部から発光ダイオード(LED)を照射する透過型だったが、搭載機器が大きくなる課題があった。今回、センサーの横にLEDを配置する反射型を採用し、薄型化しやすくなりウエアラブル機器に適する。

センサー構造は従来と同じでポリイミド樹脂の上にTFTを形成し、さらにその上に有機光検出器を載せる。最終的にガラス基板は取り除くため、折り曲げて使用可能になる。

共同開発を主導するJDIの中村卓デバイス開発課長と東大の横田知之准教授が2月に内閣府の「日本オープンイノベーション大賞」の科学技術政策担当大臣賞を受賞した。薄型イメージセンサーの開発は科学技術振興機構(JST)の助成を受けた。

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