中国の比特大陸科技控股(ビットメイン・テクノロジーズ・ホールディング)が経済部の許可なく台湾に孫会社2社を設立していたとして新北地方検察署は9日、「台湾地区与大陸地区人民関係条例」(両岸人民関係条例)違反で摘発した。両社は台湾人2人を責任者に据え、IC設計最大手の聯発科技(メディアテック)などから過去3年で200人以上を引き抜いており、営業秘密法違反の疑いもある。10日付自由時報などが伝えた。





検察の調べによると、ビットメイン子会社、北京晶視智能科技(CVITEK)の董事長で、台湾のIC設計会社で研究開発(R&D)に従事した経験がある呉振禧容疑者と、副董事長の曹希康容疑者が協力し、台湾人の黃志輝容疑者と顔進忠容疑者の名義で2017年に芯道互聯(新竹市東区)、18年に智鈊科技(新北市板橋区)を設立した。

 両社は、メディアテックやファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)、パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手の日月光投資控股(ASEテクノロジー・ホールディング、ASEH)などで勤務経験がある人材を、年収2倍以上などの高条件で、200人以上引き抜いたとされる。

 検察は、呉容疑者、曹容疑者、黃容疑者、顔容疑者ら19人を事情聴取した。両岸人民関係条例で、中国資本は主管機関の許可を得ずに台湾で支社や事務所を設立したり、営業活動に従事することはできない。検察は両岸人民関係条例違反で捜査しているが、中国に営業秘密を流出していれば、営業秘密法違反などの重罪となる。

 複数のIC設計関係者によると、中国企業による台湾の人材引き抜きは近年深刻化しており、メディアテックや聯詠科技(ノバテック・マイクロエレクトロニクス)などがターゲットで、数万人規模に上る恐れがある。

 業界関係者によると、中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)傘下の海思半導体(ハイシリコン)や、紫光展鋭(上海)科技(ユニソック上海テクノロジーズ)などが5年前から新竹県竹北市の台元科技園区に拠点を設け、IC設計人材の引き抜きを行っている。引き抜きは台湾人が担当しており、管理職クラスには5倍、エンジニアには3倍の給与を提示し、無償で自社株を支給している。  

業界関係者によると、こうした企業は、両岸人民関係条例を回避するため、外資名義で会社を設立しており、台元科技園区や新竹市東区関新路に集中している。引き抜かれた台湾人は、新竹で勤務し、香港経由で給与を受け取り、台湾での納税を免れている。

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