lcd oled cost 21052021000000-2テレビに使う大型有機ELパネルの取引価格が5四半期ぶりに下げ止まり、約3年ぶりに上昇に転じた。指標品の4~6月の大口取引価格は1~3月に比べ4~8%ほど高い。巣ごもり需要を追い風に有機ELテレビの販売が伸びた。液晶パネル価格の高騰が続き、価格差が縮んだことも一因となった。パネルメーカーは製品値上げで収益の改善を目指す。

有機ELパネルは通常四半期ごとにパネルメーカーと最終製品であるテレビメーカーが交渉して価格を決める。4~6月の大口取引向け価格は、大型の65型品が1~3月に比べて70ドル(8%)ほど高い1枚865ドル前後。流通量の多い55型品も、同20ドル(4%)高の1枚515ドル前後となった。値上がりは2018年7~9月期以来約3年ぶり。





有機ELテレビは深みのある黒の色合いを表現でき、明暗が際立った映像を楽しめる。自ら発光する赤・緑・青の有機化合物を使い映像を表示するため液晶のようなバックライトが不要で本体が薄いのも特徴だ。テレビ向けの大型品は韓国のLGディスプレー(LGD)のシェアが高い。

有機ELパネル価格は、1年ほど値下がりが続いてきた。LGDは供給過剰が続いた液晶から有機ELへのシフトを加速させると同時に、有機EL市場の拡大を狙って価格を下げてきたためだ。LGDは昨年、中国・広州市でガラス基板の大きさが「第8.5世代」(2200ミリ×2500ミリ)の工場を稼働させた。

昨年4~6月は家電量販店の休業が相次ぎ、有機ELテレビの販売が急減した。パネルメーカーの生産調整で工場稼働率は6割程度まで落ち込んでいた。

ところがコロナ禍で家庭での滞在時間が増えるなど巣ごもり需要の定着を追い風に、有機ELテレビの販売に弾みがついた。足元、「パネルメーカーの工場稼働率は90%以上にまで上昇している」(米調査会社DSCCの田村喜男アジア代表)。

約3年ぶりの値上がりの背景には競合する液晶パネルの急騰もある。

[参考] 下グラフ---[更新] 液晶パネル価格・推移トレンド (LCD Panel Price Trend)
LCD Price Trend
液晶パネルの4月の大口価格は前月比で6~10%高と11カ月連続で上昇した。20年5月に付けた直近の底値(106ドル)の約2倍まで高騰している。販売が好調なほか、パネルを制御する半導体「ドライバーIC(集積回路)」などの部材不足が響いた。

この結果、同じ55型品の有機ELと液晶のパネル価格を比較すると、20年4~6月は約430ドルだった価格差が21年1~3月は約300ドルと1年で3割ほど縮んだ。

有機ELパネルにもドライバーICは使う。高性能で高価格品のため液晶用よりは供給に不足感はないが、コスト負担は増えていることも有機ELパネル上昇の一因となっている。

7~9月はLGDが中国工場で供給能力を増やすとみられるが、「有機ELパネルの価格が大きく下がることはない」(国内証券アナリスト)との見方が多い。この機にパネルメーカーは大型有機ELパネルの収益を改善させる考えだ。

国内でも、有機ELテレビの販売は伸びている。調査会社BCN(東京・千代田)によると、全国の主要な家電量販店などにおける21年4月の有機ELテレビ販売は前年同月比で8割増えた。
半面、液晶テレビと有機ELテレビの平均価格の差は1年で15%ほど縮小しており、「有機ELテレビが消費者の選択肢として視野に入ってきた」(ビックカメラ有楽町店=東京・千代田)。テレビ全体の有機ELのシェアは、4月は8.9%と前年同期に比べ4.3ポイント上昇し、シェアを拡大している。

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