jdi Cb3y_qgoジャパンディスプレイは、市場が拡大する仮想現実(VR)ヘッドセット向けの液晶パネル事業を強化する。主要顧客の米アップルがiPhone(アイフォーン)でパネルの有機EL化を進める中、独自技術を生かして液晶パネルの用途を広げ、スマートフォン向けに偏った収益源の多様化と安定を図る。

  VR用液晶製品開発のプロジェクト推進リーダーを務める原山武志氏はインタビューで、同社の強みは高精細で視野角の広い液晶パネルを安定供給できることだと説明。VRヘッドセットメーカーの「ほぼ皆さんと付き合っている」と述べ、有機ELと比較した価格優位性も武器に、取引を拡大したい考えを示した。

JDIはVRヘッドセット向けに、スマホ向けの2倍以上となる1インチ当たり1200画素の液晶パネルも製造している。渡邉好浩チーフエンジニアは、利用者が乗り物酔いに似た不快感を感じるVR酔いの予防策を含め、JDIの「技術力が有利になる」と話す。 





 
 JDIは売り上げの6割超(2020年3月期)をアップル向けが占めるが、液晶パネルの販売不振から21年3月期まで7年連続で最終赤字を計上した。20年にはスマホ向けを中心に中小型の液晶パネルを生産する白山工場(石川県白山市)をシャープに売却するなど液晶事業の再編に取り組んでいる。スマホ向けには有機ELパネルも開発中だが、量産化に至っていない。

  スコット・キャロン最高経営責任者(CEO)は5月の決算会見で、VRヘッドセットからの収益について、来期(23年3月期)の下期から伸びると予想。VRへッドセットを含むノンモバイル事業の今期(22年3月期)の売上高は前期比25%増の700億円を見込んでいる。

  VRヘッドセット市場は16年から参入メーカーが増えたが伸び悩んだ。しかし、新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要を背景に、昨年10月に発売した新型製品の販売が好調な米フェイスブックのほか、台湾の宏達国際電子(HTC)など、液晶パネル搭載機種を中心に再び増勢にある。

  一方、複数の関係者によると、ソニーグループは来年のホリデー商戦に投入を目指す「プレイステーション(PS)VR」の後継機に韓国サムスン電子の有機ELを採用する計画。ソニーの広報担当者は発売時期やパネルの調達先について明らかにしなかった。VRヘッドセット市場では液晶と有機EL間の主導権争いも続いている。

  渡辺氏はVR事業について、「2、3年ではバラ色市場にはならないかもしれないが、JDIのパネルの商売としては大きなサイズになってくる」と自信を示した。

  英調査会社オムディアの早瀬宏アナリストは、スマホでは有機ELが「曲げやすさや省電力という特性からより評価された」と指摘。しかし、眼前にパネルを配置するVR向けは画像に繊細さなどが求められるとし、JDIが持ち前の高い技術力を発揮できれば「良い勝負ができると思う」と分析している。

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