騰勢が続いたテレビ向け液晶パネルの取引価格が約1年ぶりに下落に転じた。巣ごもり需要に伴うテレビ販売が一服し、中小型テレビ向けの指標品では7月の大口取引価格が前月より1%ほど安くなった。昨年の品不足を受けて大手パネルメーカーが増産し、逼迫感が薄れた。パネルメーカーは高水準の稼働を続ける見通しで、大型向けも値下がりに転じそうだ。

中国、韓国や台湾のパネルメーカーと内外のテレビメーカーの間で決着した7月の大口取引価格は、指標となるオープンセル(バックライトがついていない半製品)の32型が1枚88ドル前後だった。6月に比べて1ドル(1%)安く、14カ月ぶりに下落に転じた。

55型は前月と同じ1枚229ドル前後で決着し、6月まで13カ月続いた値上がりが止まった。大型の65型は6月比2ドル高の1枚295ドル前後だった。





液晶パネル価格は外出自粛が本格化した昨春から上昇し始めた。各国政府の給付金が後押しとなりテレビ需要が伸びた一方、世界的に広がった半導体不足の影響でパネル供給が滞った。需給が引き締まり、価格は約1年で2倍ほどに上昇した。

ところが「5~6月ごろから潮目が変わった」(米調査会社DSCCの田村喜男アジア代表)。調査会社の中国DiScienとDSCCによると、4~6月期の世界のテレビ出荷台数は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年4~6月期に比べ1%減った。

ワクチン接種が進む国では、巣ごもり関連から娯楽や旅行などに消費が戻りつつある。他方、コロナ感染の再拡大が深刻な東南アジアなどではロックダウン(都市封鎖)が実施され、店頭販売が鈍っており、小型液晶テレビ向けからパネル在庫に過剰感が広がっている。

パネル供給の改善も重なった。想定を上回るテレビ需要を受け、液晶パネル最大手の中国京東方科技集団(BOE)や華星光電(CSOT)など各社が増産にカジを切った。液晶パネルの生産撤退を表明していた韓国サムスン電子とLGディスプレー(LGD)も生産を継続した。DSCCによると、4~6月の生産量は前年同期に比べ16%ほど増えた。

パネル生産の障害となっていた半導体不足も解消の兆しがみえてきた。液晶パネルを制御するパネル部材「ドライバーIC」は、中国の合肥晶合集成電路(ネクスチップ)や中芯国際集成電路製造(SMIC)といった受託生産会社(ファウンドリー)が増産に動いた。直径12インチウエハーでの増産が進み「年内には不足感が後退しそうだ」(国内証券アナリスト)という。

パネル需給は緩みつつあるものの、シェア確保を優先したいパネルメーカーは生産調整には踏み切らなそうだ。英調査会社オムディアの謝勤益シニアディレクターは「8~9月には55型以上の大型サイズも下落し、全サイズが値下がりしそうだ」とみている。

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