次世代ディスプレイの検査設備を生産する「特儀科技(TEYI Technology)」がシリーズA+で1億元(約17億円)規模の資金を調達した。国家中小企業発展基金(China SME Development Fund)が出資を主導し、合肥芯屏基金やアモイ市の科学技術局などが出資に加わった。調達した資金は次世代ディスプレイや半導体設備の研究開発、新工場における生産規模の拡大に充て、業界内での優位性をさらに高めていくとしている。

同社は主に液晶(LCD)、有機EL(OLED)、マイクロ有機EL、ミニLED、マイクロLEDパネルの光学検査設備の開発と販売を行っており、ディスプレイの製造過程における外観、スクリーン、パラメーター、光学性能、信頼性などの検査を行う製品を提供している。

性能検査はディスプレイ製造に関わる全プロセスをカバーしており、検査作業は無人化を実現した。最新のマイクロ有機EL検査設備はディスプレイ製造大手「BOE(京東方)」など複数の企業が導入しているほか、ミニLED、有機EL、液晶パネルの検査設備も国内大手企業で利用されている。





ディスプレイ産業では現在、液晶から有機ELへのシフトが進んでいる。有機ELディスプレイは機能面で優れているものの、高価で消費電力が大きく、劣化が早いなど欠点も多い。そんな中、今年4月にアップルが発表したミニLED搭載の「Liquid Retina XDRディスプレイ」は、ミニLED技術が成熟しつつあることを印象づけるものとなった。ミニLEDディスプレイは細かく区切ったエリアごとにバックライトの明るさを変えられるため、高輝度、高コントラスト比で、広色域を実現できる。しかも薄型軽量で消費電力も小さい。

業界では、今後ミニLEDやマイクロLEDがディスプレイの主流になっていくとの見方が強い。市場調査会社「TrendForce」は、2018年に7800万ドル(約86億円)だったミニLED・マイクロLEDの市場規模が2024年には42億ドル(約4600億円)に拡大し、年平均成長率は94%に達すると予測している。統計によると、2020年に中国で同分野に関連した資金調達は公表されているものだけで24件にのぼり、総調達額は250億元(約4300億円)を超えるという。

マイクロ有機EL、ミニLED、マイクロLED技術が成熟し、実用段階に進むにつれて、小型や超小型のディスプレイ向け検査システムも市場にあふれるようになった。特儀科技はこの分野に早くから参入しており、2018年には中国初となるマイクロ有機EL生産ラインの自動検査設備を受注した。製品ラインにはマイクロ有機ELウエハー検査システム、モジュール検査システム、寿命試験システム、光電性能評価システムが含まれている。次世代ディスプレイを巡り各社が火花を散らす中、早くから製品戦略を組み立ててきた特儀科技は、今や国内トップの検査設備メーカーになりつつある。

フラットパネルディスプレイ技術の進歩により、ディスプレイ検査の分野にも大きなチャンスが巡ってきたと特儀科技は指摘する。同社の中心メンバーは業界の第一線で10年以上のキャリアを積んでおり、的確な市場予測ができるという。さらに豊富な知識と実践経験、精密機械や自動化に関する優れた開発スキル、自社開発した小型・超小型向け検査システムのアルゴリズムなど多方面の強みを持っている。

特儀科技の年間売上高は2018年から2020年まで毎年ほぼ倍増しており、現時点の受注状況からすると今年も倍増が期待できるという。マイクロ有機EL、ミニLED、マイクロLEDディスプレイへの投資熱は冷める気配がないため、今後の業績も好調な伸びを維持できる見込みだ。

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