「サムスン電子がなかったら、現在のLG電子もなかったことでしょう」。
LG電子の禹南均(ウ・ナムギュン)社長(デジタルディスプレー&メディア事業本部長)は最近、事あるごとに「LG電子とサムスン電子は同業者の関係」という言葉を使う。

 LG電子とサムスン電子は激しい競争を繰り広げているものの、強い相手がいてくれたからこそ、両社が現在のように成長できたというのが禹社長の持論だ。

 禹社長はLG電子とサムスン電子の競争と協力関係をサッカーの試合に例えた。

 「サッカーは相手がいなければできず、ひとまず試合が始まれば両チーム全てがゴールを目指して最善を尽くさなければなりません」。








 「強いチームと対戦すればこちらの実力も上昇するように、LG電子とサムスン電子が健全な競争を展開したため、世界舞台で通じる実力を備えることができたのです」。

 よって、禹社長は担当分野の似ているサムスン電子の崔志成(チェ・ジソン)デジタルメディア総括社長とも食事をともにし、さまざまな意見を交わすという。また、「サムスン電子の総合的力量がLG電子を上回っているのは事実であるため、学ぶべきところは学ぼうと思う」とした。

 禹社長はデジタルコンバージェンス(融合)時代は企業間の協力が何よりも重要だと強調した。

 「野菜も作り、家畜も育て、酒も売るような居酒屋式経営では、これ以上生き残れません。デジタル時代では自分の得意とする分野に集中し、その他の分野は自分より上手くやれる企業にアウトソーシング(外注)すべきです」。

 また、「数日前も日本東芝の最高経営陣に会ってきた」とし、「ライバル会社と何度も会うのはもちろん、どんなペアーと組むかが重要」とした。

 禹社長はそのような点で、日本の松下と韓国のサムスン電子、LG電子が世界の家電業界で強力なリーダーシップを発揮できるだろうと予想した。