BOE 北京 8.5G中国パネル最大手、京東方科技集団(BOE)が有機ELパネルで攻勢を強めている。重慶工場の本格稼働などで2022年12月期の出荷量を7割近く増やし、四川省成都市に新工場を建設する検討にも入った。サムスン電子などの韓国勢が先行するなか、米アップルなど外国企業への納入を増やせるかが今後の成長を左右する。

BOEは6日午後の投資家向け交流会で、有機ELパネル事業の現状と計画を明らかにした。すでに稼働している成都市と同綿陽市の2工場は「今期にフル生産となる」見通しで、重慶工場の本格量産によって、有機ELパネルの出荷量は「前期の6000万枚から今期は1億枚超まで増やす目標」を掲げた。

重慶工場はスマートフォンやタブレット端末などの有力メーカーらとパネルの品質の試験などを進めている。既に四川省の工場でアップルに有機ELパネルの一部を供給しており、重慶の工場も同社への納入を目指しているようだ。





さらに、成都に新工場を立ち上げる方向で「予備的な検討をしており、戦略や市場、技術、財務などの評価をしている」と明らかにした。新工場の生産能力を明らかにしていないが、24年末の稼働を目標に据えているようだ。

BOEの前期の売上高は2193億元(約4兆2千億円)と前の期比62%増え、純利益が258億元と同5倍強。コロナ禍でパネルを使うパソコンやタブレット端末の需要が増えた。このうち有機ELパネルの販売量は、中国スマホ大手が中高級機種向けにBOE製の採用を増やしたことで67%増えた。

BOEは地方政府の投資などを受けて液晶パネルの生産能力を拡大し、大型分野では韓国勢を抜いて世界シェアはトップとなった。一方で、有機ELパネルについては韓国サムスン電子とLGディスプレーの後じんを拝する。このため、重慶工場の稼働や成都の新工場建設をテコに生産能力を高め、韓国2社を追い上げる。

中国以外での販売拡大も重要だ。地域別の売上高をみると、中国を除くアジア地域が75%増の961億元と大きく伸び、中国大陸(938億元)を抜いて地域別でトップとなった。米国などの米州も2.3倍の237億元と好調で、欧州は14%増の54億元だった。

ただハイテク産業を巡る米中対立に加えてロシアのウクライナ侵攻が重なり、欧米と中国の溝は深まる。BOEは北京市政府系企業などが出資しているだけに、外国での成長を維持するには政府系企業ならではのハードルが待ち受ける。

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