米アップルが中国以外での生産を増大させる意向であることを一部の委託製造業者に伝えていたことが関係者の話から分かった。新型コロナウイルス感染症に対する同国の厳しい政策などがその理由だ。
 同社の世界的な生産量の一部をすでに担っているインドとベトナムに目を向けているという。
 アナリストによると、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」、タブレット「iPad(アイパッド)」、ノートパソコン「MacBook(マックブック)」などのアップル製品の90%以上が中国の委託業者によって製造されている。同国の権威主義的な共産党政権と米国との衝突から、アップルの中国への依存度の高さは潜在的なリスクだとアナリストは指摘する。





 
時価総額で米国最大の企業であるアップルが中国以外での生産を重視する動きを見せれば、製造や主要材料の中国への依存を減らす方法を検討してきた他の欧米企業の考え方にも影響を与える可能性がある。中国がウクライナに侵攻したロシアへの批判を控え、コロナ対策として一部の都市でロックダウンを実施したことで、そうした動きは今年に入ってから活発になっている。

 アップルの広報担当者はコメントを控えた。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は4月、同社のサプライチェーンについて「当社のサプライチェーンは真にグローバルであり、製品はどこでも作られている」とし、「最適化を検討し続けている」と述べた。

 アップルは現在、輸出向け製品の生産を含め、インドでの事業拡大について、いくつかの既存サプライヤーと話をしている最中だと関係者は話す。

 インドでの問題の一つは、中国との冷え込んだ関係のために、中国を拠点とする組立業者がインドに足場を確保することが難しいことだという。 両国の軍隊は2020年に係争中の国境で死者を出す衝突を起こしたほか、最近では中国のスマートフォンメーカーである小米(シャオミ)に対するインドの規制当局の扱いを巡って外交紛争が起きている。

 そのため、アップルと取引のある中国拠点の委託製造業者は、ベトナムやその他の東南アジア諸国により注目していると関係者は話す。

 ベトナムは中国と国境を接しており、すでにアップルの世界的な有力ライバルであるサムスン電子のスマートフォン製造拠点となっている。韓国を拠点とするサムスンは全般的に中国での製造を制限している。

 調査会社のカウンターポイントによると、インドでは昨年、世界のiPhoneの3.1%が製造された。その割合は今年、6~7%に増加すると予測されている。残りはほぼ中国が占めている。

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