Screenshot 2022-05-25 06.59.30半導体などの電子部品や鉄鋼など「工業素材」は、日本の輸出総額の2割という経済の要ですが、その製品にもレアメタル(希少金属)が欠かせません。日本は10年かけた元素戦略プロジェクトで、レアメタルを安くて手に入りやすい元素に置き換えたり、レアメタルを使わずに高い性能を出したりする研究の成果が出てきました。今後の実用化が期待されています。

希少金属のガリウムは、発光ダイオード(LED)や、電力消費が少ない有機エレクトロルミネッセンス(EL)テレビのディスプレー「IGZO(イグゾー)」などの画面に使われています。中国が世界の98%を生産する一方、日本は世界需要の44%を占める世界最大のガリウム消費国です。  





IGZO半導体発明者の細野秀雄・東京工業大栄誉教授は昨年、ガリウム(Gallium)を豊富にあるスズ(Tin)に置き換えた「ITZO(イタゾー)」を発表しました。実は、2004年にイタゾーの特許は出願していました。イグゾーの3〜5倍速く動くので、8Kよりもっと高解像度のテレビには最適なのですが、動きが不安定なので倉庫にしまいました。

◆課題解決にメド 実用化に期待
 しかし、企業から「イグゾーよりもっと速いものを」と要望を受け、2年ほど前にイタゾーの研究を再開したのです。動きが不安定な原因を調べると、微細な加工をする段階で微量に残った炭素と分かり、対策にメドがつきました。企業から引き合いがあり、細野さんは「ポストイグゾーと言ってもいい。近い将来の実用化が期待できる」と胸を張ります。
 細野さんは、文部科学省の希少金属を使わない材料を開発するプロジェクト「元素戦略」の電子材料研究拠点の代表として、多くの新材料をつくりましたが、イタゾーはその一つです。プロジェクトは、12〜21年度の10年間進められました。