
希少金属のガリウムは、発光ダイオード(LED)や、電力消費が少ない有機エレクトロルミネッセンス(EL)テレビのディスプレー「IGZO(イグゾー)」などの画面に使われています。中国が世界の98%を生産する一方、日本は世界需要の44%を占める世界最大のガリウム消費国です。

IGZO半導体発明者の細野秀雄・東京工業大栄誉教授は昨年、ガリウム(Gallium)を豊富にあるスズ(Tin)に置き換えた「ITZO(イタゾー)」を発表しました。実は、2004年にイタゾーの特許は出願していました。イグゾーの3〜5倍速く動くので、8Kよりもっと高解像度のテレビには最適なのですが、動きが不安定なので倉庫にしまいました。
◆課題解決にメド 実用化に期待
しかし、企業から「イグゾーよりもっと速いものを」と要望を受け、2年ほど前にイタゾーの研究を再開したのです。動きが不安定な原因を調べると、微細な加工をする段階で微量に残った炭素と分かり、対策にメドがつきました。企業から引き合いがあり、細野さんは「ポストイグゾーと言ってもいい。近い将来の実用化が期待できる」と胸を張ります。
細野さんは、文部科学省の希少金属を使わない材料を開発するプロジェクト「元素戦略」の電子材料研究拠点の代表として、多くの新材料をつくりましたが、イタゾーはその一つです。プロジェクトは、12〜21年度の10年間進められました。
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