Screenshot 2022-11-04 07.58.25サウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は3日、同国で初めての電気自動車(EV)の開発・生産に向けて台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と協業すると発表した。石油収入依存からの脱却を図るための経済改革の一環。2025年の発売を目指すとしているが、具体的な道筋は示されていない。

鴻海傘下の富士康科技集団(フォックスコン)と合弁会社を設立し「Ceer」のブランドでEVを生産する。独BMWから部品技術のライセンス供与を受ける。サウジ国内や中東・北アフリカ地域を主な市場と想定し、セダンや多目的スポーツ車(SUV)などの開発、製造、販売を手がけるとしている。

サウジは実力者ムハンマド皇太子の旗振りで、石油収入に依存してきた経済の多角化を進めている。製造業の誘致や成長も取り組みの一つとして掲げる。PIFはEVの国内生産で「1億5000万ドル(約200億円)以上の海外直接投資を誘致し、最大3万人の雇用を生み出す」と主張する。





同皇太子は合弁会社設立の発表コメントで「(長期経済計画の)『ビジョン2030』の目標達成に向け、経済多様化を促進する戦略にのっとったものだ」と強調した。PIFが出資する米新興のルーシッド・グループもEV組み立て工場をサウジ同国西部に建設中だ。

鴻海は台湾の生産拠点で商用EVバスを量産している。10月には同社が生産を手掛ける初の個人向けEVを発表した。台湾以外でも米国でEVを生産するほか、タイでも現地企業との合弁で工場を立ち上げる計画だ。

サウジはEV生産を足がかりに、自国の製造業の成長につなげたい考えとみられる。PIFは「34年までに80億ドルの経済効果を生む」と主張するが、同国では自動車産業を含む製造業は発展途上だ。Ceerの生産開始に向けた具体的な計画は明らかになっておらず、目標通りの成長を実現できるかは不透明だ。

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