ソニーグループは熊本県内に半導体の新工場を建設する検討を始めた。数千億円を投じてスマートフォン向けの画像センサー工場を建設し2025年度以降に稼働させる。世界的に画像センサーの需要が高まっているため、半導体の自国生産を強化する。
ソニーは熊本に進出する台湾積体電路製造(TSMC)からセンサーに使う半導体を供給してもらう計画。近隣に工場を新設することで、センサー生産の一貫体制を構築する。

複数のサプライヤーや地元関係者に新工場建設の意向を伝えた。半導体事業会社のソニーセミコンダクタソリューションズの熊本工場(熊本県菊陽町)の近くで同県合志市が計画する新しい工業団地内を候補地として検討する。





早ければ24年に着工し25年度以降の稼働を想定する。世界的な景気後退への懸念から、ソニーは建設時期や投資の規模を慎重に見極める方針だ。

熊本の既存工場の近くでは半導体受託生産の世界最大手TSMCの製造子会社でソニーとデンソーも出資するJASM(熊本市)が新工場を建設中だ。同工場は24年末に稼働し、画像センサーに必要なデータを演算処理するロジック半導体を生産する。ソニーは25年から本格的にTSMCの新工場からロジック半導体の供給を受ける体制が整うことを踏まえて自社の新工場を設ける。

ソニーの熊本工場は画像センサーの主力拠点の一つでスマホや車載、産業向けのあらゆるセンサーをつくる。22年4月時点の従業員数は約3300人でソニーの半導体工場で最大規模だ。13日には米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が来訪するなど技術面での国際的な関心が高い。

ソニーはスマホのカメラや自動車の車載センサーなどに使われるCMOS(相補性金属酸化膜半導体)画像センサーの世界首位。

英オムディアによれば21年の金額ベースの世界シェアは44%と韓国サムスン電子(18%)を上回る。

スマホの出荷台数は成長が頭打ちながら高級機種向けではセンサーが大型になり搭載数も増える。人物やその動きを3次元(3D)データ化して自由な視点から見る新技術「ボリュメトリック映像」のほか、車向けの自動運転や省人化のニーズで工場など産業向けでも画像センサーの需要は増える。米ICインサイツは26年のCMOS画像センサーの世界市場が21年比3割増の269億ドル(約3兆6千億円)になると予測する。

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