東洋紡は液晶偏光子保護フィルム「コスモシャインSRF」を薄肉化により面積ベースで20%増産する。現行品の膜厚80マイクロメートル(マイクロは100万分の1)から、2025年に全て同60マイクロメートル品への置き換えを目指す。

犬山工場(愛知県犬山市)や敦賀事業所(福井県敦賀市)の既存設備で同60マイクロメートル品を量産するための技術を開発中。設備を新設せずに供給量を増やし、現状50%の液晶テレビ向け偏光子保護フィルムの世界シェア拡大を狙う。





コスモシャインSRFは偏光板の外側に配置し、液晶テレビ1台当たり2枚使用する。東洋紡はすでに膜厚60マイクロメートル品を販売しているが、コスモシャインSRFは反り性の低さから大型テレビとの相性が良く、顧客から薄型化への要求は弱かった。だがプラスチック使用量が減らせるため、コストや環境面などから厚さ60マイクロメートル品への置き換えを検討する顧客が増えているという。

コスモシャインSRFの薄肉化では、光学特性や強度の維持が課題となる。歩留まりも悪化するが、生産技術を作り込み、60マイクロメートル品でも80マイクロメートル品と同等のプロセスコストに抑える方針だ。東洋紡はこれにより、樹脂原料の使用を抑えられる分、コスト競争力が増すとみる。

液晶テレビの生産台数は頭打ちで「(液晶)市場が確実に、さらに伸びるのであれば設備増設も考えるが、そこまで踏み込めない」(工藤政尚執行役員)。ただ東洋紡は、大型化により少なくとも25年まで液晶テレビ市場が面積ベースで年率3―5%で伸びるとみている。薄肉化でコスモシャインSRFの増産やコスト競争力強化につなげ、シェア拡大を狙う。

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