太陽光発電 脱炭素社会の実現に向けて普及が進む太陽光発電。都会のビルなどでは、屋上に発電設備が設置されるのが一般的だが、最近は太陽電池を内蔵した窓ガラスなど垂直面での発電も可能に。
さらに、薄く軽量で柔軟性のある次世代太陽電池への期待も高まっており、メーカー各社が量産に向け、技術の開発にしのぎを削っている。

進学校として有名な荒川区の開成学園。2年前に完成した新校舎に、太陽電池を挟んだ窓ガラス66枚を導入した。





化学メーカー「カネカ」(港区)と大成建設(新宿区)が開発。太陽電池はストライプ状に配置されて半透明となっており、デザイン性、採光性が確保されている。野水勉校長は「屋上は生徒の活動スペースや室外機などで設置が限られる。窓での発電は視界をさえぎらず、生徒からも好評」と話す。容量は約5キロワット。災害時の非常用電源としても役立てる。
 
 両社は昨秋、バルコニーの手すり壁での太陽光発電も発売開始。発電可能な場所は増えつつある。

太陽電池のうち、今大きな注目を集めているのが、日本発の技術でフィルムのように薄い「ペロブスカイト太陽電池」。現在主流のシリコン太陽電池は重く、設置場所が限られる。ペロブスカイト太陽電池は軽量で曲げられ、耐荷重の小さい屋根や壁面、曲面などさまざまな場所に設置可能だ。曇りの日や屋内など弱い光でも発電できるほか、原料の多くが国内で調達可能。塗って乾かす印刷技術で低コストで作成できる。

耐久性などに課題が残っているものの、次世代電池の本命として世界で開発競争が激化している。国内では新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、カネカをはじめ、積水化学工業や東芝(港区)などがしのぎを削る。
 2月中旬には、東芝製のペロブスカイト太陽電池の実証実験が東急田園都市線青葉台駅(横浜市)の通路で行われ、直射日光のない駅構内での発電性能を検証。行き交う市民にPRした。
 この開発でノーベル賞候補にも名前を挙げられる桐蔭横浜大の宮坂力特任教授は「いつでもどこでも発電でき、普及すれば電気代の値下げに貢献する。将来は石炭、石油、原発にも頼らない社会になるのでは」と、電力の地産地消への可能性を語った。

※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ