KonicaMinoltaコニカミノルタは10日、2023年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が1050億円の赤字(前の期は261億円の赤字)になったと発表した。
最終赤字は4期連続。遺伝子検査の米子会社アンブリー・ジェネティクス(カリフォルニア州)などで合計1166億円の減損損失を計上した。

主力の複合機事業の成長が鈍化するなか、M&A(合併・買収)を進めて新たな収益の柱を育てようとしてきたが、業績悪化によって投資回収が難しくなった。






アンブリーは17年に官民ファンドの産業革新機構(現INCJ)と共同で約900億円を投じて買収した。新型コロナウイルス禍などで病院への来院者が減ったことや医療従事者の不足などで遺伝子検査の需要が想定を下回った。検査料金の低価格化などを受けて競争も激化していた。のれんや無形資産の帳簿上の金額を引き下げ、約1035億円の減損損失を計上した。

同日の説明会で大幸利充社長兼最高経営責任者(CEO)は「米国の遺伝子検査市場や競合企業の戦略が変化して大きな影響を受けた」とし、変化に対応できずに稼ぐ力を急速に失った経緯を明らかにした。

INCJが持つ4割のアンブリーの株式にはコニカミノルタへのプットオプション(売る権利)が付いている。大幸社長は「どの時期にどうするかは、情報を確認できていない」とした。

ドイツのネットワークカメラ子会社で37億円、人工知能(AI)による画像処理事業で31億円など、他の不振事業でも減損損失を計上した。

23年3月末の配当を従来予想の10円から無配にする。年間配当は前の期比20円減の10円になる。大幸社長や山名昌衛会長などが報酬を一部自主返上する。大幸社長が月額役員報酬の30%を12カ月、山名会長が30%を3カ月、専務執行役と常務執行役が10%を3カ月返納する。

業績悪化に伴って複数の金融機関とのシンジケートローンに関して財務制限条項に抵触する見込みだが、金融機関からはこれによる利益喪失請求を行わないことで承諾を得ているという。

22年3月期にもドイツのネットワークカメラ子会社などで減損損失の計上や、遺伝子検査事業での売掛金の回収見込み額の減少などで15億円の黒字予想から275億円の赤字に転落していた。


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