シカゴ大学プリツカー分子工学部(PME)の研究者らが、手首に巻いたり、好きな方向に折り曲げたり、車のハンドルに巻きつけられるほど柔軟な薄型デジタルディスプレイを開発した。この材料は、蛍光パターンを発光させたまま、半分に曲げたり元の長さの2倍以上に伸ばしたりできる。

「今日私たちが使っているほとんどすべての家電製品の最も重要な構成要素のひとつがディスプレイです。私たちは、さまざまな分野の知識を組み合わせて、まったく新しいディスプレイ技術を生み出しました。」と、研究を主導したSihong Wang分子工学助教授は語る。

従来のハイエンドスマートフォンやテレビに搭載されているディスプレイには、有機EL技術が使われている。この技術は、従来のLEDや液晶ディスプレイよりもエネルギー効率が高く、画像もシャープだが、有機ELの分子構成要素の化学結合が強く、硬いという構造的な特徴がある。





研究チームは、高分子骨格に柔軟な線状ユニットを挿入することで、機械的な伸縮性を大幅に向上させる設計戦略を示した。その結果、合成されたポリマーは125%の伸縮性と10%の外部量子効率を達成した。さらに、伸縮自在の有機LEDを実証し、開発した伸縮自在の熱活性化遅延蛍光ポリマーが、高効率、高輝度、スイッチング速度、伸縮性、低駆動電圧など、望ましいエレクトロルミネッセンス特性と機械特性を同時に実現することが確認できた。

Wang氏はこれまでにも、柔軟な絆創膏のようなもので健康データを収集分析できる、伸縮可能なニューロモーフィックコンピューティングチップを開発してきた。光を発する曲げやすい材料は、情報を表示するだけでなく、光を必要とするウェアラブルセンサーに組み込むことができる、とWang氏はいう。例えば、血管に光を当てて血流を感知する、血中酸素濃度や心拍数を測定するセンサーだ。また、曲げられるライトアップ素材は、最終的には光を使って脳の神経細胞の活動を制御するような、埋め込み型デバイスにも組み込むことができるということだ。

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