経営再建中のシャープが最新鋭の高精細液晶「IGZO(イグゾー)」のパネルを、米パソコン大手のヒューレット・パッカード(HP)やデルに長期供給する交渉に入っていることがわかった。液晶事業の赤字に苦しむシャープにとって、大口販売先を確保して経営再建にはずみをつける狙いだ。
 IGZOパネルは高精細、省電力が特徴で、シャープが今春、亀山第2工場(三重県)で世界初の量産を始めた。すでに今冬モデルのスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末の一部に搭載され、米アップルの「iPad」も採用しているが、亀山第2工場の生産能力が大きいため、現状の稼働率は3~4割にとどまり経営の足かせになっている。

[管理人] 気になるのは HPもデルもリーズナブルな価格のパソコンを大量に販売しているメーカー。
IGZOの高精細液晶を使って市場を作り上げていくようなビジネス展開は不得手ですからね。



シャープが8月に発表した2013年3月期の業績予想でも、連結の営業赤字1千億円に対し、液晶事業はそれを上回る1050億円の赤字を見込む。大口販売先の確保は、9月に銀行に提出した経営再建策の柱の一つになっている。
 パソコンの出荷で世界トップ3に入るHPやデルとの交渉は、IGZOパネルを両社の「ウルトラブック」と呼ばれる軽量・薄型のノート型パソコンなどに長期的に搭載してもらう前提で進んでいる。まだ、供給する量や開始時期については決まっておらず、亀山第2工場の稼働率がどの程度改善され、赤字解消に貢献するかは交渉の行方次第だ。
 シャープと米インテルとの間では、IGZO専用の中央演算処理装置(CPU)を共同開発する交渉も始まっており、国内外のパソコン、スマートフォンメーカーにセットで売り込むことを狙っている。

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 〈IGZO〉 In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の酸化物を用いた半導体を使って画面の信号制御装置を小型化した液晶パネル。アモルファスシリコンを使った従来の液晶に比べ、画像表示に必要な電力が5分の1以下で済み、高精細でタッチ操作への感度も高いため、パソコンやタブレット端末、スマートフォンに適した液晶として注目されている。