シャープの大畠昌巳執行役員は23日、都内で行った新商品発表会で、鴻海精密工業との携帯電話の協業を順次拡大していく考えを示した。今年8月後半に中国、香港、台湾でスマートフォン1機種を発売したのに続き、モデル数を増やしていく。
携帯電話の協業は、シャープの製品開発力やブランドと鴻海の製造技術や資材調達力を生かして展開する。通信システム事業本部長を務める大畠執行役員は「まずスタートは1モデルで、これから順次展開していく」と述べた。鴻海との協業では「お互いに量の拡大について話している。世界で戦うためには量が必要だ」と述べた。
最初のモデルはアンドロイド搭載のスマホ。液晶パネルは、同社が強みを持つ酸化物半導体「IGZO」を採用していないが、今後のモデルで検討する。量の拡大に向けて、IGZOパネルを搭載したハイエンドから中低級モデルを含めて幅広い製品の開発を進めていくという。日中関係悪化による中国市場での携帯電話の販売の影響については「まだスタートしたばかりなので、これからそのあたりを注視していく」と述べた。
同社は2012年度下期に、NTTドコモなど国内の携帯3社で販売するスマホ3機種、タブレット端末1機種を発表。ドコモで販売するスマホと、KDDIで発売するタブレット端末の合わせて2機種にIGZO技術を採用した液晶パネルを搭載。同社のIGZOパネルは、米アップルのタブレット端末「iPad」に採用されているとみられているが、スマホでの搭載は初めて。
大畠執行役員は、今年の年末商戦において、同社の携帯電話の出荷台数のうち3割程度をIGZO搭載モデルにしたいとの意向を示した。今年4―6月期には、米クアルコム(QCOM.O: 株価, 企業情報, レポート)製のチップセットが世界的に不足して同社の携帯生産も低迷した。下期以降のチップセットの調達について大畠執行役員は「上期は心配をおかけしたが、下期においては問題ない」と述べた。
IGZO液晶は亀山第2工場(三重県亀山市)で製造しているが、今年10月から天理工場(奈良県天理市)でも生産を開始。初のIGZOパネル搭載のスマホを量産することになり、中小型液晶の製造拠点である天理工場を活用することにした。
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