鴻海科技集団(フォックスコン)製の家庭用60インチ高画質液晶テレビが11日、中華電信(台湾)などとの2年以上の通信契約で市価の半値以下の3万8,800台湾元(約10万円)で発売される。サイズや通信契約の縛りが消費者ニーズに合致しないとの懸念が聞かれる一方、堺ディスプレイプロダクト(SDP)の液晶パネルを採用して一貫生産し、設置、アフターサービスまで鴻海集団が手掛ける新たな販売モデルが、台湾の家庭に「大型テレビ時代」をもたらす可能性もある。9日付蘋果日報などが報じた。
 鴻海製の60インチ液晶テレビ購入は、中華電信の光ファイバーインターネット接続サービス「光世代」(月額料金799元の4M以上)とマルチメディア・オンデマンド(MOD)サービス(同359元、3カ月は半額)の2年契約が必要で、合計6万6,000元からの計算だ。凱擘大(kbro)の光インターネット(同768元の6M以上)とスーパーMOD(同299元)の2年契約なども対象だ。中華電信は販売目標に上限なしと表明、凱擘は年内に5,000台、今後2?3年で2万台を目指す。



凱擘の許芝蘭商務長は、昨年の台湾でのテレビ販売台数は120万台で、うち46インチ(4万-5万元)以上の大型機種は10%にすぎないが、鴻海製60インチテレビの登場で来年は同25?30%に拡大し、36万台もあり得ると語った。販売店によると、60インチ機種の市価は現在9万?12万元程度。
 観測では、通信契約なしで本体のみの購入は5万8,800元で、鴻海集団の3C(コンピューター、通信、家電)製品販売店、賽博数碼広場(サイバーマート)で12月下旬に発売になるとみられているが、正式には発表されてない。
 鴻海集団の戴正呉副総裁は、同テレビのナンバー1として、▽EMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手の鴻海集団▽通信キャリア台湾最大手の中華電信▽世界最高のSDP第10世代パネル工場で製造の液晶パネル▽初めての試みの製品価格と販売モデル──の4点を掲げ、台湾の家庭のテレビ視聴スタイルを変え、将来は70、80インチ、はたまた130インチのテレビを発売すると抱負を述べた。なお、奇美電子(チーメイ・イノルックス)は60インチ以上のパネルを手掛けないため、同社への影響はないと付け加えた。
 低価格を実現できた理由として、▽SDPの液晶パネルを輸送して台湾で製造(年産計画30万台)▽専売店での販売で通常掛かる20%のコストが不要──を挙げた。同時に、このテレビには提携パートナーの中華電信か凱擘の社名シールが貼られるだけで、鴻海集団はブランドを手掛けないと強調した。
 消費者からは「家庭のリビングが映画館になる。お買い得だ」、「通信契約が必要なのは面倒だし、結局は高く付く」などの声が聞かれ、評価が分かれた。
 台北市電器商業同業公会(TECA)の李松霖理事長は、60インチテレビの場合、3メートル以上離れなければ、映画館の前列3列目までに座っているような圧迫感があると注意を呼び掛けた。業界関係者は、消費者は売り場でまず大型テレビを見に行くが、結局は家庭のスペースを考えて50インチ以下を購入すると指摘した。
 家電量販店、燦坤3Cは9日から、ビジオの55インチスマートテレビを2万9,999元(通常4万5,000元)など、通信契約不要をアピールして販促を行う。全国電子(eライフモール)は40?50インチを主力としつつ、3万元以下の50インチ機種を打ち出す。