液晶パネル大手、奇美電子(チーメイ・イノルックス)の段行建董事長は14日、来年の見通しについて、「黒字転換し国際舞台での飛躍の1年になる」と自信をのぞかせた。来年は生産ラインのボトルネック解消を通じて生産能力を5%増強することで需要に対応する。また、社名の「群創光電」への変更は年末に行う予定で、同社が名実ともに鴻海科技集団(フォックスコン)傘下で新たな一歩を踏み出す象徴となる。15日付工商時報などが報じた。
段董事長は、第4四半期から来年上半期の市場見通しについて、ノートパソコン向け液晶パネルはタブレット型PCに押され苦戦する一方、液晶テレビおよびスマートフォン向けは、大型化が進み好感できるとの見方を示した。特に液晶テレビは、鴻海集団が先日、低価格の家庭用60インチ高画質機を発売したことを契機に、超大型化の風潮が強まるとみられるからだ。
段董事長は、大型化の加速で総面積での需要は高まっているが、生産能力は世界規模でほとんど拡大していないと説明した。同社の保有する工場は、▽3.5世代、2基▽4.5世代、1基▽4世代、1基▽5世代、3基▽5.5世代、1基▽6世代、2基▽7.5代、1基▽8.5世代、1基──で、総生産能力はガラス基板ベースで月産300万平方メートル。ボトルネック解消を図ることで約5%、15万平方メートルの生産能力拡大が見込め、これは5世代工場1基分に相当するとしている。
段董事長はまた、新技術、新プロセスへの投資拡大を強調した。来年は特に広視野角のIPS方式液晶パネルに注力し、歩留まり率、技術力で大きく水を開けられていた韓国LGディスプレイ(LGD)との差を縮めたい考えだ。仮にLGDの歩留まり率が90%だとすれば、台湾メーカーはすでに80%以上まで迫っており、追い付くのも時間の問題とみている。
市場の観測では、奇美電がIPS方式にこだわる背景には、同技術がアップルのモバイル製品のほとんどで採用されていることがあり、同社もサプライヤー入りをもくろんでいるとされる。
14日に開かれた臨時株主総会では、社名を現在の「奇美電子」から「群創光電」に変更することが承認された。現在の奇美電は10年3月に鴻海傘下の群創光電、および統宝光電との3社合併で新たな体制となったが、その後、旧奇美電出身者が経営層から離れ、鴻海集団が完全に経営を掌握した。群創光電への名称変更は、鴻海集団の一員として新たなスタートを切る意図が込められているとみられる。
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