新製品は、フルハイビジョンの4倍の解像度で「4K」と呼ばれる高画質モニター。細かい映像や文字を確認しながら作業をする映像・図面の制作、金融取引などの業務用がターゲットという。当面の販売目標は年1万8千台。
亀山第2工場(三重県亀山市)で液晶を生産し、2013年2月から販売する。
シャープによると、4Kのモニターはこれまで、一部の専業メーカーしかつくっておらず、価格も数百万円以上に高止まりしている。シャープは、今春世界で初めて量産化に成功したIGZOに最新部品を組み合わせて価格を45万円前後に抑え、本体の厚みも業界最薄の35ミリにした。
この日東京都内で会見した寺川雅嗣執行役員は「種類を増やし、亀山第2工場の稼働率向上に最大限努力したい」と話した。
シャープにとって液晶パネルは最大の事業だが、世界的な不況の影響などで今年度は1320億円の営業赤字を見込む。経営再建中の同社にとって、立て直しは緊急の課題。中でも「業績回復の鍵」(アナリスト)を握るのがIGZOだ。
IGZOを生産する亀山第2工場は最新鋭ながら、直近の稼働率が5割前後に低迷し赤字が続く。一方、テレビ向けの大型液晶の主力工場である堺工場は、7月に台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が経営参加し、パネル販売でも協力。稼働率が8割以上に回復して採算が改善した。「残る課題は亀山第2だけ」(首脳)の状況だ。
亀山第2では米アップルのタブレット端末「iPad」向けにIGZOを生産するほか、今冬モデルのau向けタブレット端末にも搭載が決まっている。しかし、亀山第2は元々テレビ向けの大型液晶工場として建てられ、生産能力が大きいため、なかなか稼働率改善につなげられていない。
シャープは今回の新製品に期待を寄せるほか、ヒューレット・パッカードやデルなど世界の大手メーカーに対し、パソコン用モニターにIGZOを採用するよう働きかけている。
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