シャープは2012年12月4日、米Qualcomm社の子会社であるPixtronix社と、MEMS技術を用いたディスプレイ(MEMSディスプレイ)を共同開発することで合意した。これに併せて、Qualcomm社と出資契約も締結した。シャープはQualcomm社から最大で約99億円の出資を受け入れ、同社を割当先とした第三者割当による新株式の発行を実施する。出資金は、MEMSディスプレイの開発および設備投資などに当てる。
台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は、シャープが米半導体大手クアルコムからの出資受け入れを決めたことについて、鴻海とシャープの出資交渉に影響はないとの認識を示した。


共同開発するMEMSディスプレイは、Pixtronix社が開発を進めてきたもの。MEMSシャッターとRGB3色のLED光源、駆動素子(TFT)、光学部材などから成る。MEMSシャッターの開閉でLEDバックライトの透過光の量を制御することで階調を表示する。光の利用効率が60~80%と高く、低消費電力化を図れるのが特徴である。

 今回の合意を受けて、シャープのIGZO TFT技術とPixtronix社のMEMSディスプレイ技術を組み合わせたMEMSディスプレイの実用化を進めていく。具体的には、シャープの子会社で中小型パネル事業を手掛けるシャープ米子にある液晶パネル製造ラインに、実用化に向けた設備を導入する。技術開発にメドが立った段階で装置を導入し、量産技術を確立していくという。