16日の第46回衆院選で自民党が圧勝し、第2次安倍晋三政権の発足が確実となったことに対し、台湾の産業界では歓迎ムードが広がっている。親台的な安倍氏の下で日台の提携強化が見込まれるためで、特に半導体、機械、テレビの受託生産、自動車部品業界に恩恵が期待されるという。安倍政権は中国との関係改善を目指すと同時に、尖閣諸島(沖縄県石垣市、台湾名・釣魚台列嶼)問題で中台が連携することを防ぐべく、周辺海域を対象とした台湾との漁業交渉を進めるともみられている。17日付経済日報などが報じた。
半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体製造(ASE)は、日本のIDM(垂直統合型の半導体メーカー)から台湾半導体業界への発注拡大傾向は変わらないとの見方だ。
ファウンドリーの台湾積体電路製造(TSMC)、聯華電子(UMC)がルネサスエレクトロニクス、富士通、川崎マイクロエレクトロニクス、東芝からの受注拡大が見込まれる。また、パッケージング・テスティング(封止・検査)では、▽東芝によるASE、力成科技(パワーテック・テクノロジー)、京元電子(KYEC)への発注▽村田製作所によるパワーアンプのシガード・マイクロエレクトロニクスへの発注▽旭化成エレクトロニクスによる泰林科技、南茂科技(チップモス・テクノロジーズ)への発注▽ルネサスエレクトロニクスによる?邦科技(チップボンド・テクノロジー)への発注──の拡大がそれぞれ期待される。
尖閣諸島をめぐる日中対立によって、日本自動車メーカーの部品調達先が台湾に移行し、自動車部品メーカーは受注を増やしている。東陽実業は先日、日本メーカーからのOEM(相手先ブランドによる生産)受注が決まり、生産能力を倍増させる計画だ。自動車照明器の世界最大手、小糸製作所が出資する大億科技(ケンモス・テクノロジー)はこのほど、モジュール開発を受注した。
機械業界では、工作機械の業界団体、台湾区機器工業同業公会(TAMI)が来年3月に日本の機械振興協会と提携覚書(MOU)を結ぶ予定だ。上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)、程泰機械(グッドウェイ・マシーン)、亜イ機電(イは山の下に威、AWEA)が日本メーカーとの提携を強化している。
外交部は16日、安倍・自民党総裁は台湾に友好的で、日台関係は現在の良好な状況からさらに発展するとした声明を発表した。台湾の対日窓口機関、亜東関係協会の黄明朗秘書長は、安倍総裁は台湾を何度も訪問しており、松山~羽田空港の就航式典にも出席したと指摘した。
財界交流団体、中華民国三三企業交流会(三三会)の郭盛淇秘書長も、日台関係が改善し、尖閣諸島周辺海域の漁業権の問題も話し合えると、肯定的な見方を示した。
台湾政治大学の国際関係研究中心の蔡増家アジア太平洋所長は、安倍総裁は首相就任後、米国との関係強化に努め、台湾は日米安保における防御圏との認識の下、日台関係を深化させるとの予測を示した。また、日本は尖閣諸島問題で対立する中国と、関係改善を模索すると指摘した。
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