鴻海精密工業の昨年通年の売上高は前年比16.09%増の3兆2,100億台湾元(約9兆9,000億円)で民間企業としての過去最高を再度更新し、郭台銘同社董事長が掲げた「前年比15%成長」の目標を達成した。昨年11、12月は2カ月連続で単月の過去最高売上高を記録、第4四半期も四半期ベースの過去最高となるなど絶好調だ。主要顧客アップルのiPhone5およびiPad miniの人気に支えられたものだが、今後はアップルの勢いも鈍るとの見方があり、同社の業績への影響が懸念されている。11日付経済日報などが報じた。
12月の売上高は前月比2.61%増、前年同月比13.88%増の3,609億4,400万元と2カ月連続で3,000億元の大台に乗せた。1日当たりでは120億元売り上げている計算で、中堅企業の通年売上高に匹敵する規模だ。鴻海の?治平広報担当は、12月はコンシューマー製品や通信製品が好調な反面、パソコン製品は季節的要因であまり良くなかったと説明した。



第4四半期売上高は前期比39%増、前年同期比7.46%増の9,883億7,900万元で1兆元にはわずかに及ばなかった。
 証券会社は、アップルのスマートフォン最新機種「iPhone5」が日本や欧米などで9月に発売された後、12月に新たに台湾や中国など33カ国・地域が販売地域に加わったこともあり、売上高は11月がピークとなり、第4四半期は20~30%増を見込んでいた。しかし、12月も引き続き過去最高を更新し、第4四半期は予測を大きく上回り目を見張るものがあったと説明した。アップルの第4四半期におけるiPhoneシリーズ(旧機種含む)の出荷台数は約4,600万台とされ、そのうち鴻海が9割の組み立てを受託したとすると、前期比で1,203億元の売上増に貢献した計算で、タブレット端末のiPad(iPad miniを含む)の貢献分は490億元と分析した。
 鴻海の今年第1四半期の見通しについて証券各社は、主要顧客のアップル次第との見方だ。他ブランドが相次いでスマートフォンの新機種を投入する中、アップルは第1四半期にiPhone5出荷台数を大幅に減らすとの観測が浮上し、その割合は前期比で3割とも45%にも及ぶとも言われている。マッコーリー証券台湾区研究部の張博淇主管は、iPhone5は需要が低下し(鴻海は)受注が減るリスクがあると悲観的な見方を示している。一方、バークレイズ・キャピタル証券の楊応超アジア・太平洋科学技術ハードウェア産業チーフアナリストは、サプライチェーンが出荷量を下方修正しても、組み立ての出荷台数に影響があるとは限らないと楽観的だ。
 ただ、比較対象の昨年第4四半期が過去最高だったことや、第1四半期は例年非需要期に当たることに加え、2月の春節(旧正月)連休もあることから、鴻海の同期売上高は前期比で1割以上減少するとみられる。