四塩化アンモニア塩という添加剤の開発により交流による安定したDSM(Dynamic Scattering Mode)液晶駆動という基礎技術の確立にめどが立ち、ポケッタブル電卓に液晶を低消費電力薄型ディスプレイとして採用することが決定され、翌1972年当初からいよいよその事業化プロジェクト(S734プロジェクト)が発足しました。
表示装置の液晶採用とともに電力消費量の大きい演算部などについても徹底した省電力化を図り、さらに、1枚の強
化ガラス板上に、演算部、表示部、駆動部、キー接点などを一体化したCOS(Calculator -on-Substrate)化を図る
ことにより乾電池の消耗を従来の 187分の1 にすることに成功しました。
結果としてこのプロジェクトは、要素となる材料開発から工場建設までという幅広い分野の活動を約1 年強で成し遂げ、1973年5月に、ポケット電卓EL-805が発売されました。
単3乾電池一本で100時間の動作という当時としては驚異的性能から、この商品は全世界から注目と好評を持って迎えられた。この時は、また実用的な液晶ディスプレイの誕生となりました。
米国Lloyd's 社から Accumatic 100、 Sears 社から C1という液晶電卓も少し前に発売されていたのですが、安定性に問題があったり消費電力が大きいため市場から姿を消していました。
電卓全体の省電力化を図ることで液晶の電卓への活用のメリットが生まれその後の電卓開発の大きな流れを作り出すことに成功したこの商品、その意味でシャープが世界で最初に液晶電卓を製造したといっても間違いではないでしょう。
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