パナソニックが、次世代テレビ技術の有力候補とされる有機EL(エレクトロルミネッセンス)の業務用ディスプレーを、平成27年にも発売する方針を固めたことが26日、分かった。

 有機ELは従来の液晶テレビに比べ低消費電力・高精細なのが特長で、医療用モニターなど幅広い用途で活用が見込まれる。同社は、競合相手の少ない業務用で新たな収益源をまず確立し、消費者向けで先行する韓国メーカーに対抗する。



パナソニックは昨年6月、ソニーと有機ELパネルなどを共同開発することで合意。今年1月に米ラスベガスで開幕した世界最大規模の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で世界最大級の56型の有機ELテレビを発表し、技術力の高さをアピールした。

 関係者によると、パナソニックは27年に業務用の有機ELディスプレーを市場投入する品質レベルに到達させ、姫路工場(兵庫県姫路市)で量産体制も整える見通し。消費者向けは同年以降の発売を検討する。

有機ELテレビをめぐっては消費者向けに韓国LG電子が今年3月の発売を表明、サムスン電子も今年前半に発売するもようだ。しかし「市場で受け入れられる価格帯など調査が進んでおらず、失敗の可能性がある」(証券アナリスト)とも指摘される。

 一方、業務用は競合相手が少なく、医療用や放送局で制作者が映像の画質を確認するモニターなど用途が幅広い。確実に収益を見込めることから「リスクを避け、先に業務用に参入して市場を独占する方が有利」(パナソニック首脳)と判断した。