現在リコーが開発中の電子ペーパーです。
透明の状態から発色する、マゼンタ・イエロー・シアンの新規エレクトロクロミック材料を積層した独自構造を採用することで、これまでの電子ペーパーでは原理的に不可能だった紙のように明るいフルカラー表示が可能です。
試作機は、3.5インチのQVGAサイズ(113.6ppi)で、反射率は70%です。既存のカラーフィルター方式に比べて約2.5倍明るく、新聞(Japanカラー:31%)よりも高い色再現範囲(35%)を実現しています。



"色を出す時に、YMCの減法混色をするというのがカラー印刷と同じモデルで理想的なんですが、それをマゼンタ・イエロー・シアンと重ねてコーティングすることで実現しています。従来このような積み重ねをしようとすると、それぞれの層に電極の駆動部が必要なんですが、今開発しているものは駆動する電極がアクティブなTFTなんですが、それを1つだけにして、表示側の電極をスイッチしながら色を出す事で、1つのTFTで色を出す事を実現しています。"

発色層に用いた材料は、酸化状態では透明で、還元されると発色します。カラー表示をするには、マゼンタ、イエロー、シアンの順に3回書き込みが行われます。それぞれの発色層の間隔は2μm程度と狭いため、理想的な混色表示が得られます。

"現在は、このモデルが成り立つというのを実際のアクティブパネルで確認した段階です。色を出す駆動については作り込みができていませんので、1色あたり1秒以上かかっています。ただ、クロミック材料の反応速度としては、理想的には100ミリ秒くらいは出るものになっています。"

"今後は、6インチ、10インチというサイズアップを図りながら、安定に駆動したり、応答を速くするといった課題に取り組む予定です。"