「IEEEマイルストーン」は、電気・電子技術およびその関連分野において、社会に貢献した重要な歴史的偉業に対して認定するものです。
認定条件には、25年以上に渡って世の中の評価に十分に耐えてきたものという項目も含まれています。
1983年の制定以来、世界初のコンピューターであるENIACをはじめ、ボルタ電池やフレミングの二極管などが認定されています。
日本からは、1995年に八木アンテナ(東北大学)、2000年に富士山頂レーダー(気象庁、三菱電機)、東海道新幹線(JR東海)、2004年にセイコークォーツ(セイコー)の4件が認定されていて、2005年にシャープの電子式卓上計算機(電卓)が認定されました
国内では5件目で、情報機器分野では初めての受賞となりました。
 
この電卓の開発過程で確立した集積回路技術や液晶ディスプレイ技術などが、デジタル家電機器の基盤技術なり、「産業の米」「電子の紙」としてエレクトロニクス産業の発展に大きく貢献したことが認定の理由となったのでした。



受賞当時シャープの社長だった町田勝彦社長は、「電卓は、その事業の成功だけでなく、その後の波及効果が大きく、様々なエレクトロニクス事業の発展に大きく寄与した。電卓は初めて民生用に半導体を利用し、IC産業を大きく発展させた。また、電卓の消費電力を下げるために液晶を採用し、その液晶は液晶TVという、最もホットな事業へとつながっている。さらに、その後の電卓で採用したソーラーパワーは、太陽電池事業へとつながっている。そして新たなものを作るという創意の遺伝子を作り上げ、キーデバイスを生み、それがまた新たな製品を作り上げるというスパイラル構造を定着させた」と電卓が果たした役割の大きさを語っていました。
 まさにその後の液晶の発展の礎となった一歩でマイルストーンというものにふさわしい功績だったと思います。
---- 液晶が材料開発から世界初の商品化過程を駆け足で振り返ってきました---
--- 次回からは性能が飛躍的に発展していった過程を振り返っていきます ---