外電の報道を基に29日付工商時報などが報じたところによると、EMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手の鴻海精密工業が、米グーグルが開発中の拡張現実機能を組み込んだ眼鏡型ウエアラブルコンピューター「グーグル・グラス(Google Glass)」を受託生産する。最先端のハイテク技術を組み込んだグーグル・グラスは、将来を有望視される注目製品で、鴻海は新たなビジネスチャンスをつかんだもようだ。
これについて鴻海、グーグルは共に「ノーコメント」としている。
 グーグル・グラスは、手に持たずにインターネットやコンピューターに接続でき、言語音声で操作可能だ。ユーザーの右眼上部に取り付けられた小型モニターに検索結果などを表示する。写真撮影やビデオ録画機能を搭載しており、画像などをホームページにアップロードすることもできる。



 グーグル・グラスの部品の多くはアジア地域から調達するが、最終的な組み立てはグーグル本社に近い、カリフォルニア州のシリコンバレーに位置するサンタクララ工場で行うもようだ。数週間以内の生産開始が見込まれ、初期生産量は数千個を予定。少量生産で高コスト、複雑な技術を用いることから本社近くでの生産が合理的との判断を下し、同工場での生産に至ったとみられる。グーグルは商品化の前に試験利用者を募集。応募者は8,000人に上り、このほど当せん者が決定した。当せん者は1,500米ドルで購入可能だ。一般発売は今年末が見込まれている。
 業界関係者によると、鴻海は最近光学設計やコンタクトレンズなどのエンジニアを募集している。勤務地は台湾の土城工場としているが、海外転勤の可能性も提示していることから、グーグル・グラス生産に向けたものとの見方が強い。
 現在鴻海は米国に15カ所以上の事務所および研究開発(R&D)拠点を設けている。シリコンバレー(サンノゼ)およびボストンを最重要R&D拠点とし、それぞれ無線通信製品、企業データシステム製品を手掛ける。鴻海は、アップルが一部パソコン製品の生産を米国で再開するため、主要パートナーとして米国に工場を設置するとの観測も浮上している。
 28日中国・山西省を訪れた郭台銘・鴻海董事長は、メディアからのシャープとの協議の進展に関する質問に対し、「破局はない」、「提携は絶対だ」と3度繰り返し、シャープとの関係が悪化しているわけではないことをアピールした。