低価格化が進むLCDTVの中で、光源に直下型LEDバックライトを搭載したLEDTVの需要が拡大している。

従来光源であるCCFL(冷陰極管)は、事業性が低下していることからサプライヤの撤退が続いている。LCDメーカーもすでにCCFLを採用したモジュールの開発を行っておらず、今後のロードマップは、Open cell※1やLEDバックライト搭載モジュールのみの提案になっている。
一部のTVメーカーは、自社でOpen cellとCCFLを調達してCCFLバックライトの採用を続ける計画であるが、CCFLはガラス管など部材レベルで産業の縮小が続くと見込まれることから、数年内にサプライチェーンの維持が難しくなる可能性がある。



従来LEDTVはE-LED ※2 が中心であったが、TV最大手のSamsung ElectronicsがD-LED※3 モデルの投入を強化していることから、D-LEDの普及に注目が集まっている。
E-LEDは、導光板を用いてサイド方向から光を入射するタイプのLEDバックライトを採用する。製品の薄型化が図れるが、導光板などを用いるため、比較的コスト高になる。
一方、D-LEDは、パネルの直下方向にバックライトを配置するため製品の厚み(奥行き寸法)が増すが、その分LEDの員数を減らしてコストダウンを図ることができる。安価なCCFLモデルからの置き換えとしては、D-LEDの方がコスト的に有利であることから、普及型LEDTVのバックライト技術として本命視するメーカーも多い。

TV最大手のSamsung Electronicsは、D-LEDの製品ラインナップを強化しており、2012年モデルでは5割程度であったD-LEDモデルの比率を、2013年には8割以上に高める計画である。D-LEDは、レンズキャップにより光の拡散性を高めることで、LEDの員数を維持しながら薄型化を図るなどの工夫が進められている。昨年はモジュール厚が50㎜台が中心であったが、今年のD-LEDモデルは35㎜近くまでモジュールの薄型化を図ることが可能になっている。
また、画面のサイドではなく直下方向に光源を配するため、狭額縁化を進めやすいというメリットがあることから、デザイン性も兼ね備えた製品提案を行っていくと見込まれる。

※1 Open cell:バックライトユニットなどのモジュール部品が搭載されていない状態で供給されるLCDパネル/セル
※2 E-LED:Edge-LED≒サイド型バックライト。
※3 D-LED:Direct-LED≒直下型バックライト。
※4 レンズキャップ:LEDパッケージの上部に設置する光拡散レンズ。拡散機能を持ったレンズを配置することで、LEDバックライトの省灯化、もしくは薄型化を図ることができる。