基板であるガラスの次は、液晶材料そのものの開発の歩みを見ていきましょう。液晶といっても色々な種類が存在することはいままで振り返ってきました。
代表的な液晶相の種類(動くイラスト)を見てみてください。設計するにあたり色々な選択肢があるということがご理解いただけると思います。
現在LCDに使われることが多いのはネマチック液晶で、ほぼ2社(+1社)で独占されています。ドイツに本社をおくメルク社チッソ株式会社から事業を引き継いだJNC社そしてDICです。 メルクが約60数%、チッソが約30%、DICが数%といったシェアと思われます。

 さて、そのような液晶の開発秘話は??



実は、基本的な液晶の発見それに続く多種の発見以外、現代の液晶フラットパネル製品の開発において液晶材料が開発をリードしていったということ局面はあまりありませんでした。
「液晶」ディスプレイと言われながら液晶の役割はバックライトの光をオンオフするシャッターの役割だけであり、主役のようで主役ではない不思議な存在なのです。ただそのシャッターの性能がものをいうのも事実なのです。
常にユーザーである液晶製品開発・量産の会社からの要求によって各種性能の改善が進められていったのが発展史です。フラットパネル製品で用いられている液晶材料は、エステル系,ジオキサン系,ビフェニル系などの十数種類の有機化合物を混合したものです。それらの混合・ブレンディング・製法によってユーザーの要求にこたえていったのです。
要求には多くの観点があります。画質性能(コントラスト・視野角・応答速度etc)を決めるシャッター性能はもちろん、環境性能、信頼性、量産性、他の材料や部材とのなじみ・親和性。液晶ディスプレイという工業製品の中にあって非常にデリケートな材料で扱いにくい材料です。
そのためユーザーと材料メーカーとの綿密なやり取りは必須であり、その蓄積が両者にとって重要な資源となっていきました。たくさんの種類の液晶レシピが存在しているものの、企業の寡占が起こってきた一因といえます。

この液晶材料については、特に液晶テレビの開発が進む際に大きな変革がありました。
その内容については、液晶テレビの開発を取り上げた時に確認していきたいと思っています。