14日付工商時報によると、ソニーは液晶テレビの自社生産比率を今年50%、来年は70%以上にまで引き上げる。円安による輸出競争力向上が理由だ。ソニーから年間30万台以上受注しているODM(相手先ブランドで設計・製造)の緯創資通(ウィストロン)、冠捷科技(TPVテクノロジー)に打撃となりそうだ。一方、主に組み立てるだけの鴻海精密工業は年間500万?600万台の受注に影響は出ないとみられる。
市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーの調査によると、ソニーは昨年685万台(45.6%)を自社で生産し、鴻海に570万台、ウィストロンに180万台、TPVに65万台を発注した。今年はソニーの自社生産が720万台(51.4%)に増え、鴻海は引き続き600万台を受注する一方、ウィストロンは30万台に大幅縮小、TPVも50万台に減少する予測だ。
サプライチェーン関係者は、ウィストロンは今年ソニーからの受注が少なく、現在の機種の出荷が終われば、下半期に新たに量産する受注はほぼないと指摘。TPVは受注を積極的に取りにいっているが、来年は少量かつ地域限定の受注しかないと予測した。
ソニーは近年、液晶テレビの外部への生産委託比率を徐々に引き上げつつ、海外のテレビ組立工場を売却し、ブランド重視のファブライト化を進めていた。ところが、大幅な円安が輸出に有利に働き、今年から戦略のかじを切り直した。
ソニーは最近、サプライチェーンと2014年度の発注について協議し始めたがそれほど乗り気ではなく、しかもバックライトモジュール、液晶パネルなど部品メーカーと直接交渉を進めている。ソニーがODMメーカーへの発注を減らし、自社生産を増やすとの市場観測が出たのはこのためだ。
ウィッツビューは、ソニーが自社で設計し、部品調達を行えば、テレビの利幅が増えると分析した。
ソニーは来年、マレーシアで生産拠点を増やす考えで、東南アジアなど成長著しい新興市場展開を拡大するとみられている。東芝など日本ブランドが追随する可能性があり、台湾の液晶テレビ受託生産メーカーにさらなる打撃となる恐れがある。
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