経済日報が市場観測を基に報じたところによると、IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)は宏碁(エイサー)に対し、タブレット型パソコンとスマートフォンへのプロセッサー供給に続き、液晶モニターやテレビへも製品を供給して同社との提携を拡大する見通しだ。証券会社は、これまで中国ブランドを中心に供給してきたメディアテックが、他の台湾ブランドにも顧客を広げる契機になると指摘した。
メディアテックは、エイサーが今年1月に発売した7インチディスプレイの低価格タブレットPC「Iconia(アイコニア)B1」に1.2ギガヘルツ(GHz)デュアルコアプロセッサー「MT8317」を供給。アイコニアB1は人気を呼び、両社の提携は成功を収めた。エイサーは今月初めに発表した7.9インチの低価格タブレットPC「アイコニアA1」でもメディアテックのクアッドコアプロセッサー「MT8125」を、先日販売を開始したスマートフォン「Liquid E2」にはクアッドコアプロセッサー「MT6589」を供給した。
業界関係者は、メディアテックは製品、価格、技術、サービスの全てにおいてエイサーを全力サポートしており、両社は新製品開発で緊密な関係を築いているとの見方を示した。メディアテックは今後、エイサーのモニター、テレビにも製品を供給するとの見方が出ているが、メディアテックはモニター用チップを扱っていないため、8月に合併予定の晨星半導体(Mスター・セミコンダクター)がサポートするもようだ。
メディアテックはエイサーとのタブレットPCでの成功を足掛かりに、エイサー以外の台湾ブランドの受注獲得も目指しており、華碩電脳(ASUS)のタブレットPC用ソリューションを開発しているとみられる。
メディアテックは先日、今年のタブレットPC用チップの出荷枚数を当初の500万~1,000万枚から1,000万~1,500万枚に上方修正した。スマートフォン用は2億枚(12年は1億1,000万枚以上)を目指す。
業界関係者はまた、メディアテックにとって、エイサーとの提携は2年前の聯想集団(レノボ)のケースと同じと指摘した。
当時メディアテックはスマートフォン市場に参入したばかりで、手始めに熟知した中国に狙いを定めた。しかし、同市場で実績がなかったため、ブランドメーカーは採用をためらっていた。そんな中、レノボはスマートフォン「楽Phone」の販売が不調で、打開策としてメディアテックが強みとするデュアルSIM対応チップを採用した「楽Phone A60」を2011年8月に発売。すると供給不足になるほどのヒットとなり、メディアテックはこれを機に他のブランドからの受注獲得に成功した。
メディアテックは台湾でも同様の成功を収めたい狙いがあるとみられる。一方再起を狙うエイサーにとっても、台湾メーカーのメディアテックは最良の提携相手だ。両社の協力が今後狙い通り成果を生むことができるのか、業界関係者の注目を集めている。
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