EMS(電子機器の受託製造サービス)で世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業がグループ内事業の分社化を推進する。26日に開いた株主総会で表明した。最大顧客の米アップルの成長が減速するなか、事業ごとの責任を明確にするとともに「脱アップル依存」を進め、収益基盤の強化を目指す。
台北市近郊で開いた株主総会で郭台銘董事長が、今は本体が抱えるコネクター事業の分社化を表明した。コネクターは受託生産するパソコンなどに使うほか、外部にも販売している。事業規模は年800億~900億台湾ドル(約2590億~2910億円)と世界3位以内の規模という。
この事業を年内をメドに分社化したうえで、将来の株式上場を目指し「3年以内に世界最大手に育てる」(郭董事長)考えだ。本体やグループ会社で競争力のある事業を分社化すれば、スムーズな意思決定や採算の明確化などが期待できる。今後はタッチパネル材料や接着剤など、競争力のある製品や技術ごとの分社化も目指す。
2012年12月期で連結売上高が13兆円に迫る巨大企業である鴻海が分社化に踏み切る最大の要因は米アップルの成長減速だ。鴻海の連結売上高に占めるアップル関連事業の比率は4~5割に達するもよう。だがスマートフォン(スマホ)「iPhone5」などの売れ行きが期待ほど伸びず、鴻海の受注も減少。鴻海の13年1~3月期の連結売上高は3年半ぶりに減った。郭董事長は株主総会でアップルについて「顧客のことはコメントできない」とかわしたが、1~5月の売上高の累計も前年同期比12.6%減とアップル減速の影響は大きい。
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