奇美集団の液晶テレビブランド「CHIMEI(チーメイ)」は4日、台湾地場ブランドとして初めて50、65インチの超高画質4K2Kテレビを発表した。販売価格はそれぞれ5万9,000台湾元(約20万円)、10万9,000元と、上半期に55、60インチ製品を投入したソニーの半額ほどに抑えた。台湾ブランド、価格の優位性を生かして下半期に販売台数5,000台(4K2K台湾市場シェア15~16%)を目指す。5日付経済日報などが報じた。
4K2K液晶パネルは、友達光電(AUO)製を使用したソニーに対し、群創光電(イノラックス)製を採用した。50インチは7月に発売し、観測によると下半期の販売目標は3,500台、65インチは8月発売で同1,500台だ。台湾テレビ市場は鴻海精密工業が50インチ以上の大型テレビを低価格で投入し、買い替え需要の掘り起こしに成功したが、CHIMEIは高画質かつ低価格をアピールして新たな市場を獲得したい考えだ。



 同社は昨年、デジタル看板などの商業用として4K2Kの84インチ製品を販売したところ一般消費者からも問い合わせが相次ぎ、家庭用として30台が売れたという。今後は42インチなどの販売も視野に入れる。
 パネルを供給しているイノラックスの王志超総経理も発表会に同席し、パネルメーカーの4K2K供給は徐々に改善しており、準備は整ってきたと説明した。ただ一方で、4K2Kテレビ用のICチップや組み立てなどは対応に遅れが生じており、サプライチェーン全体の足並みがそろっていないことが4K2Kテレビ発展の問題となっていると指摘した。
 市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーによると、今年通年の4K2K浸透率はわずか1~1.2%にとどまるとの予測で、まだまだ需要が伸びていないのが現状だ。世界平均を上回る中国も5%、台湾は5%未満で3万台規模にすぎない。
あるブランドメーカーは、台湾液晶テレビ市場は景気低迷や、政府による省エネ製品購入への補助金終了などで販売台数が小幅増にとどまる見通しであることに加え、価格競争で金額ベースでも成長には限りがあると説明し、比較的利益の高い4K2Kテレビが市場をけん引し、サプライチェーン全体に利益をもたらすようになってほしいと期待感を示した。