液晶パネルの在庫調整圧力および価格の下落幅拡大などにより、台湾、韓国、中国のパネルメーカーが今月から減産を開始したもようだ。市場調査会社、ディスプレイサーチの謝勤益副総裁は、減産幅は約3~5%で、生産ラインの平均稼働率は第2四半期の85%以上から今月は80%ほどに低下したと指摘。8月もさらに低下する見通しで、減産は川下顧客の需要が戻るまで続く見通しだ。18日付工商時報が報じた。
中国で省エネルギー家電の購入に対する補助金支給が5月末で打ち切りとなったことにより、液晶テレビの需要は顕著な落ち込みを見せ、6月のテレビ用パネルの出荷枚数は前月比6~8%減少した。パソコンなどのIT製品用パネルも需要低迷が続いていることから、大型パネル全体としても同2~5%減少した。7月はサプライチェーンが在庫調整に入っており需要回復は見込めず、出荷とパネル価格のさらなる下落は避けられない状況だ。



 7月上旬のパネル価格の下落幅は、テレビ用が約2~4米ドル。IT用は約0.2~0.5米ドルだ。謝副総裁は7月は予想を上回る大幅下落になると指摘し、特に39、42、50、55インチなどの大型パネルへの影響が大きく、契約方式次第では10米ドル以上下落するケースも起きるとの見方を示した。
 なお、テレビ用半製品の液晶セル(オープンセル)も7月から減産に入っている。同製品は比較的利益率が高いものの、パネル価格の下落やサプライチェーンの在庫量の多さを考慮すると、需要期でも市場が回復しない恐れがあると判断された。
 18日は韓国・LGディスプレイ(LGD)が、台湾・韓国大手パネル各社の先頭を切って第2四半期の業績説明会を行う。今後のパネル需要についてどのような見通しが示されるのか注目が集まる。