中小型液晶の世界最大手、ジャパンディスプレイ(JDI)の大塚周一社長は5日、ロイターのインタビューで、主力の茂原工場(千葉県茂原市)の生産能力を今年の年末までに現在の50%増まで増強し、来年6―7月に倍増する計画を明らかにした。
スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末向けの高精細パネルの需要が旺盛で、生産能力を早期に増強する必要があると判断したという。
茂原工場は今年6月に稼働を開始。第6世代と呼ばれる大型のガラス基板ベースで、現行は月2万4000枚の能力。能力増強に向けすでに設備の導入を始めており、年末には同3万6000枚の生産能力に引き上がる。来年6―7月には同工場の能力の上限の同5万枚に達し、計画する総額2000億円の投資資金を使い切る。
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同工場のラインは、高精細画像を表示できる低温ポリシリコン(LTPS)と呼ばれる技術を採用。解像度が低く汎用品のアモルファスシリコンのラインより技術の難易度が高い。
大塚社長は「昨年から5インチサイズのスマートフォンにLTPSの採用を働きかけて多くの機種に採用されたが、今期から初めてタブレット端末にもLTPS技術の液晶の供給を開始した」と述べた。スマートフォン用のパネルについても、従来からの大口顧客だけでなく、中国のスマートフォンメーカーからの受注が増えているという。
複数の関係筋によると、米グーグルは7月(日本では8月)から発売した7型画面のタブレット端末「ネクサス7」の最新機種で、ジャパンディスプレイ製の液晶パネルを採用している。
大塚社長は、茂原工場の次の工場の建設も視野に入れていることも明らかにした上で「需要があって資金的な手当てがあればいつでも投資判断する」と述べた。 株式の新規公開(IPO)については「早ければ2014年、遅くとも2015年を目指す」と話した。 ジャパンディスプレイは2012年4月、日立製作所、東芝、ソニーの中小型パネル事業が統合して発足した。アップルのiPhone用パネルのほか、国内外の複数のスマホメーカーに高精細の中小型液晶を供給している。
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