アップルは米国時間10日、新型スマートフォン、iPhone5SとiPhone5Cを発表したが、新鮮味に欠けると売れ行きを疑問視する見方が浮上し、台湾サプライチェーン企業の株価は11日ほぼ全面下落となった。初の廉価版5Cが本体549米ドルからと値頃感に欠けたこともマイナス要因に挙げられた。富邦証券投資顧問は価格設定に問題があるとして、5Cの年内出荷予測を3,060万台へと、従来の4,800万台から36%下方修正した。12日付経済日報などが報じた。
5C組み立てを主に担う和碩聯合科技(ペガトロン)の株価は、前日比3.2%下落し43.20台湾元(約145円)のストップ安で引けた。カメラレンズの大立光電(ラーガン・プレシジョン)は6.44%下落し945元と1,000元の大台を割り込んだ。
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 アジアのアップルサプライチェーン株価への悲観視は、新機種のスペックがうわさやリークから予想できた範囲内ながら、価格は依然高いためとJPモルガン証券は指摘した。5Cは市場観測で300~400米ドルと予想されていたが、実際には5S(649米ドルから)と大差がなかった。 インターネットユーザーからは、「5CのCはチープでなくて単にカラーの意味だったのか」との皮肉が出た。CはチャイナのCとの見方もある。業界関係者の多くが、アップルは中国など新興市場への参入に当たり、粗利益率を維持するため、まず高めの価格設定で消費者にどれくらい受け入れられるかを試したとみている。アナリストによると、5C価格が400米ドルならばアップルの粗利益率は35%になり、同社平均を下回ってしまう。ただ、ターゲット市場とされる中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)は、「中国人にとっては価格が高過ぎる」と指摘した。
 一方、5S独自の指紋認証機能には注目が集まっている。指紋認証センサーはホームボタンに搭載され、サファイアクリスタルで保護されている。サファイア基板メーカーの兆遠科技(クリスタルワイズ・テクノロジー)、晶美応用材料(クリスタル・アプライド・テクノロジー)、?晶鑽科技(テラ・クリスタル・テクノロジー)が最大の恩恵を受けそうだ。
5Sと5Cは米国、中国、香港、日本などで20日に発売される。通信会社は、台湾発売は早くて11月末と予想している。これまでの取り扱いキャリア、中華電信、台湾大哥大(タイワン・モバイル)、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)の大手3社に、威宝電信(ビボテレコム)が初めて加わるとの市場観測がある。