華碩電脳(ASUS)は11日に開いた幹部会議で、来年はノートパソコン、タブレット型PC、デスクトップPC、スマートフォンの4分野で、今年を上回る出荷成長を目標に定めたもようだ。同社の今年のノートPC出荷は前年比約5%減の見通しで、市場縮小の影響により初のマイナス成長が予測されているが、来年は小幅成長の回復に力を入れる。14日付工商時報などが報じた。
同社の今年通年のノートPC出荷台数は1,800万台と、前年割れが見込まれている。市場調査会社のIDCが先日発表した統計でも、第3四半期ノートPC出荷台数は前年同期比3割の大幅減に見舞われた。これについて張偉明ASUS財務長は、比較対象の前年同期はノートPC、低価格ノートPC(ネットブック)の出荷が好調で、今年はネットブック市場から撤退しており単純な比較はできないと指摘。ネットブックを差し引いた場合、ノートPCの第3四半期出荷は450万台で前年比1割減にすぎないと説明した。沈振来執行長は、ノートPC世界市場は今年、前年比10~20%の縮小が予測されているが、来年は1億6,000万~1億7,000万台で1桁台の減少幅にとどまるとの見通しを示し、同社は製品のイノベーションにより成長余地があると説明。来年はシェア回復を目指す考えだ。
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 タブレットPC、スマートフォンは利益率が比較的低いが、来年の重点事業との位置付けだ。これら製品の売上比率と利益の拡大によって、全体の売上高と利益が今年を上回る水準に達することを期待する。
 タブレットPCは今年、昨年の670万台から1,200万台へと約2倍に伸び、ネットブックの減少分を補う成長を見せる見通しだ。今年の出荷台数にはグーグルとダブルブランドの「ネクサス7」を含んでいるが、来年はネクサス7を含めずに1,200万台以上との目標を掲げている。次世代ネクサス7の提携パートナーは12月にも決定するもようで、引き続きASUSが手掛けることになれば、出荷台数をさらに上積みできる。
 スマートフォンはタブレットPCにもなる「PadFone」を手掛けているが、今年の目標出荷台数は150万台と規模は決して大きくない。来年は攻勢をかける計画で、沈執行長は自ら中国に常駐する考えだ。合体型ではない純粋なスマートフォン販売に参入する他、東南アジアの販売、既に獲得している米国大手通信キャリアとの提携も強化し、黒字化を図る。
 なお、デスクトップPCは、ライバルの宏碁(エイサー)に大きく遅れをとっているが、来年は300万台と今年の数倍規模に挑戦する。
 PC、スマートフォン以外では、マザーボード、グラフィックカードは大きな成長は見込めないが粗利益率が高く、来年も安定した利益獲得を目標にしている。