シャープは17日、亀山第2工場(三重県亀山市)で、スマートフォン向けに省電力・高精細の液晶「IGZO」パネルの生産を年内に開始すると発表した。

第8世代と呼ばれる大型のガラス基板で、スマホ用の小型パネルを製造する技術を確立。主に来年以降に発売される他社製のスマホ用パネルを生産し、同工場の稼働率の引き上げにつなげる。

第8世代のガラス基板は2160×2460ミリメートルの大きさ。こうした大型サイズの基板でスマホ用の小型液晶を生産するのは世界で初めてという。亀山第2工場では、スマホより大きな画面のタブレット端末やノートパソコン用の中小型液晶の製造にとどまっていた。


同社は、米アップルのiPhone(アイフォーン)用の専用液晶を亀山第1工場で製造しているほか、自社製のスマホ用に、天理工場(奈良県天理市)の第3.5世代(620×750ミリメートル)のガラス基板でIGZO液晶を生産してきた。亀山第2工場でスマホ用のIGZO液晶を製造するのは、台頭する中国のスマホメーカーをはじめ、他社への出荷を拡大するねらいがある。

液晶が中核事業のシャープにとって、亀山第2工場の稼働率の引き上げは経営課題。2013年4―6月期の同工場の稼働率は80%超に達したが、テレビ用の大型液晶の生産が稼働の9割を占めた。大型液晶の価格は不安定だが、今後、タブレット端末やノートパソコン用パネルとともに、スマホ用パネルの生産も拡大していくことで、採算性の高い中小型液晶の比率を高めていくねらい。