半導体エネルギー研究所(SEL)は、FPD International 2013において、結晶性酸化物半導体「CAAC」を用いた、最新のディスプレイを展示しました。

"CAACというのは、C-Axis Aligned Crystal の略でして、C軸に配向した結晶の構造を持った材料ということです。CAAC自身は、一般的にいわれているアモルファスではなくて結晶ですので、非常に信頼性が上がります。今まで酸化物半導体は信頼性が問題であると一般的にいわれていましたが、この材料を使う事でその問題が解決します。"

"ひとつはやはり、デザインの自由性を確保する曲がるディスプレイ、それから移動度が高いので非常に駆動力があるので、大きなディスプレイでも高精細にできます。この2つがポイントになると思います。"

フレキシブル性を利用したディスプレイとして提案されているもののひとつが、曲面部分も表示でき、額縁の無い「サイドロール OLEDディスプレイ」及び「トップロール OLEDディスプレイ」です。

プロトタイプは、326ppiの3.4型と302ppiの5.4型で、OLEDディスプレイの特徴である高い色再現性をそのまま表示できます。



"CAACは、連続の結晶系ですので割れないという特徴がありまして、曲げてもあまりダメージがないです。半径4mmで曲げれるのは、たぶん世界に類がないのではと思います。特に、周辺を曲げ込んでその部分に表示できるというのはこの技術だけだと思います。"

また、フレキシブルディスプレイの大画面化にも成功しています。このプロトタイプは、プラスチック基材のOLEDディスプレイとしては業界最大級のサイズ、13.5型を実現しています。4K解像度326ppiと高精細で、フレキシブル化により、厚さ100μm以下、重さ10gの薄型軽量と曲面対応を実現しています。

"また、我々は曲がるバッテリーを作っています。CAACで曲がるディスプレイができますので、それと組み合わせることで、アプリケーションの1つとしてウェアラブルデバイスができます。"

この腕輪型ウェアラブル機器を想定したプロトタイプは、3.4型のOLEDと曲がるリチウムイオン電池を搭載し、Qi規格によるワイヤレス充電やBluetoothを搭載しています。電池の曲がる性能としては、腕輪型を想定した曲率の曲げを繰り返す試験をしており、着脱使用10,000回が可能ということです。

CAACを用いたディスプレイの量産技術はすでに確立されており、すでに昨年末に発売されたシャープのスマートフォンで採用されています。ここでは、さらに高密度化を追求した513ppiの高精細液晶ディスプレイのプロトタイプが展示されています。

"CAACのIGZOは、今まで使っていたアモルファスの半導体と比べると、一桁以上性能が良い、だいたい20倍くらいの性能が出ますので、その結果としてトランジスタを小さくできます。そうすると高精細なディスプレイができます。513ppiというのは、たぶん今作れる世界最高水準のものだと思います。それは、このCAACの技術を使って高性能なトランジスタを作れるおかげです。"