華碩電脳(ASUS)の沈振来執行長(CEO)は、スマートフォンの来年の目標出荷台数を今年比5倍増の500万台に定めたと宣言した。同社はスマートフォンの販売機種が少なく出遅れているが、タブレット型パソコンにもなる「PadFone」などユニークな製品開発に定評があり、来年投入するスマートフォン「MEMOfone(仮称)」でもその強みを武器に、ハイスペックかつ低価格で攻勢をかける。14日付電子時報などが報じた。
沈執行長は、来年スマートフォン市場で新製品を相次いで投入し、同市場における「キープレーヤー」になることが目標だと述べた。
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 MEMOfoneについては、内蔵カメラ、CPU(中央演算処理装置)などにハイスペック製品を搭載している他、外観にもこだわるなどソフト・ハード両面で他社旗艦機種にも劣らないと説明。一方販売価格はPadFoneの699米ドルの半額以下、台湾元換算で1万台湾元(約3万3,000円)に抑える方針だ。中国、東南アジア、インド、ブラジル、ロシアなどの新興市場をターゲットに数機種の販売を予定している。来年1月に米ラスベガスで行われる家電見本市「2014コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で披露する。
 なお、ハイエンド機種のPadFoneは、引き続き新機種を投入し、来年上半期には欧米の大手通信キャリアと提携して販売拡大を図る。
 沈執行長は来年の最大のライバルは聯想集団(レノボ)と名指しした。スマートフォン市場において、レノボは今年上半期の出荷台数が1,180万台とASUSを大きく引き離しているが、レノボ製品を研究したという沈執行長は、「レノボは出荷台数も多くシェアを追求しているが、われわれはデザインとユーザーエクスペリエンスを重視しており、コストはその次だ」と戦略の違いを強調し、最終的に勝つのはASUSだと言い切った。
 タブレットPC市場では市場調査機関やASUSの内部統計などによると、今年第3四半期のASUSシェアは7.5%の3位で、4位のレノボを上回り優勢だ。しかし、レノボのシェアは5.5%と迫っているため、来年は市場シェア3位を固め、レノボを引き離すことが目標と語った。市場調査会社、IDCによると、タブレットPC市場はアップルがシェア40.2%(13年第3四半期)で独走態勢を築いており、サムスン電子が12.4%でこれに続いている。
 沈執行長は、ASUSはグーグルとのダブルブランド「ネクサス7」頼みとの声も市場から聞かれるが、既にASUSブランド製品の出荷比率は55~65%に達しており、来年は70%まで上昇すると説明した。新ネクサス7の提携パートナーに再度選ばれるかは不確定だが、同機種を含まなくても来年の出荷台数は今年の1,200万台を達成できると自信を見せた。
 なお、ASUSの今年第3四半期連結売上高は1,070億元で前期比19%増、純利益は49億4,000万元で同4%増だった。