シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と共同で進める計画だった中国事業を全面的に見直す。鴻海が四川省成都に建設を計画している液晶パネル工場への技術供与を白紙としたほか、スマートフォン(スマホ)の共同開発も断念した。両社の提携関係はテレビ向けの大型液晶パネルを生産する旧堺工場(堺市)の共同運営だけとなる。
 シャープは鴻海が成都で計画している液晶パネルの生産工場に先端技術を供与する方向で調整していた。シャープは技術料として数百億円を受け取る予定だったが工場自体の計画が進まず、シャープによる技術者の派遣計画も取りやめた。
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 スマホの共同開発を巡っては昨年6月に両社が中国市場向けのスマホで協業することで合意していた。シャープが一部技術を供与した端末を鴻海がシャープブランドで展開を始めた。だが直後に沖縄県の尖閣諸島を巡り日中対立が深刻化。日本製品の不買運動が発生したため、生産を停止していた。
 シャープと鴻海は昨年3月に資本・業務提携で合意。だが、その後シャープの株価が急落したことで、鴻海側が出資に難色を示し現在まで払い込みに至っていない。シャープは公募増資などで1300億円規模の資本増強を完了しており、鴻海との提携意義が薄れていた。