中国の携帯電話用チップ最大手、展訊通信(スプレッドトラム)の創業者の1人、陳大同氏が、今年の中国IC設計メーカー(約630社)の販売額は874億人民元(約1兆5,000億円)に上り、初めて台湾を追い越すとの予測を示した。これに対し台湾メーカーおよび研究機関などは今年台湾を超える可能性は低いとしながらも、中国は国を挙げて半導体産業の発展に取り組んでおり、2年以内に優位性が崩れる恐れがあると警鐘を鳴らした。18日付経済日報が報じた。
陳氏が中国での講演で語ったところによると、過去10年の中国政府による半導体産業への補助金は年平均10億人民元程度だったが、今後10年は総額で1兆人民元規模が計画されているという。中国の半導体関連メーカーの多くが中小企業で、今年の売上高が1億人民元を超えるのは127社の見通しで、地場メーカーは中国の半導体チップ需要のわずか10%を埋めているにすぎず、発展余地は十分との見方だ。
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中国半導体産業の2006~12年の年平均成長率は、▽IC設計、25.7%▽製造、15.4%▽パッケージング・テスティング(封止・検査)、17.6%──だが、13、14年は軒並み従来以上の成長を遂げると予測されている。
また、上海市集成電路(IC)行業協会の王龍興高級顧問によると、新規の半導体設備、IC設計、製造などの企業に対し、2年間は企業所得税を免税、3年目は半額とする優待措置をとっている。中国政府は初期投資を軽減して半導体産業を根付かせたい考えだ。
なお、中国での半導体産業クラスターは▽長江デルタ▽環渤海湾▽珠江デルタ▽中西部──地域に形成されている。中でも長江デルタ内の上海半導体産業園区は、中国全体の半導体生産額の31%を占める重要拠点となっている。
一方、台湾の工業技術研究院・産業経済趨勢研究センター(IEK)は、今年のIC設計生産額は4,739億台湾元(約1兆6,000億円)、来年は5,142億台湾元と2年連続で過去最高を更新すると予測しており、台湾の優位性は揺るがない見通しだ。
しかし、15年には中国のIC設計技術は22、20ナノメートル製造プロセスに、封止技術は世界の主流水準に達するとみられている。このため、台湾メーカーも先進技術の研究開発(R&D)を加速しなければ、従来保ってきた優位性を崩されてしまう。液晶パネルは中国の追撃が顕著になっているが、同じことが半導体でも起こる可能性は低くない。
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