有機ELは、すでにスマートフォン向けの小型ディスプレイが普及し、照明用途でも今後の普及が期待されているが、大型ディスプレイに関しては、製造コストや歩留りに加え、液晶テレビの価格下落の影響もあり、メーカー各社は製品化に二の足を踏む状況にある。
2013年1月のCESで、有機ELを用いた大画面テレビの試作品が日本・韓国の各社から出展され、さらには韓国メーカーによる大型有機ELテレビ製品化のニュースも出されたものの、世界的にこれだけ液晶テレビの普及が進
み、消費者がその画質にもある程度満足している現状では、有機ELテレビは製品化に向けた目的や存在意義が問われている。
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大型有機ELディスプレイの普及のポイントは高コストの克服である。特に製造上の課題として、成膜やTFT回路で蒸着など高コストの製造技術を、低コストの大面積印刷技術で代替する量産技術の確立が求められており、WOLED+カラーフィルタ構造や究極の印刷技術の実用化、印刷用の高分子材料の開発などが進められている。
有機ELは電流動作で発光するため、十分な電流を流せるTFT回路基板が欠かせない。小型ディスプレイ用途で採用されている低温PolyーSi(LTPS) TFT回路は、コスト・技術の両面で大型化には適しておらず、IGZOなど酸化物半導体材料の採用が待望されている。まだまだ大型有機ELディスプレイの課題は大きい。